妙満寺は室町時代(1389)に創建した顕本法華宗(けんぽんほっけしゅう)の総本山。江戸時代前期の俳人・松永 貞徳(まつなが ていとく)にて成就院「雪の庭」として作庭。清水寺成就院「月の庭」、北野成就院「花の庭(現存しない)」とともに「雪月花の三名園」と称された。その後、昭和43年に岩倉に遷堂した際に「雪の庭」を本坊へ移築。
7月中旬の土曜日昼過ぎに訪問。総本山の庭園ながらも静寂に包まれた本坊から枯山水「雪の庭」を愉しめる穴場スポット。京都市内の主要観光地から離れていることが最大の要因だろう。
朝から修学院離宮など4ヶ所連続で巡ってきたので、まずはゆっくりと額縁庭園を眺めながらひと休み。
雪の庭の全景。奥行き感を出すために、奥に従って狭まるような台形になった地割りである。築山の頂部には松、松の右手には枯滝石組を造っている。
枯池には青石の丸石が敷かれ、奥には枯滝石組がみえる。
巨石で組まれた枯滝石組は、「雪の庭」での景の中心となり三段落ちの滝となっている。手前にはこれでもかという巨石が橋のように設置され、その下に僅かながら隙間を設け、石橋の下を流水を表現してるのだろうか。橋の手前には水分石で水流を左右に分けている。
枯池に配した沢飛石が面白い。苔庭から飛び石が始まり、自然石、巨石、切石と少しづつ意匠が変わる。このような技法は江戸初期までの庭園ではお目にかかったことはなく、昭和の遷堂時に改変されたのかもしれない。
「雪の庭」には乱張りによる延段が造られている。延段付近の砂紋が若干惜しい気がするのは自分だけだろうか。
2つの異なる石を組んだ手水鉢(ちょうずばち)であり、特に上段の石は趣深い。
枯池と苔庭で組み合わせた地割りはモダンで美しい。
妙満寺のひとつに額縁庭園がゆっくりと愉しめるところにある。雪の庭だけあり、雪見障子に挟まれた空間に庭園が控え、観賞場には朱色の毛氈が敷いてある。
額縁庭園を撮影できる広間は3つある。
本堂からは比叡山を眺められる。参道や山門近くにも石組がみられ、見逃さないようにしたい。
妙満寺境内案内図をみるとつつじ園や、もみじ園、桜園もあり季節毎に楽しめる。 [ 案内図を拡大する ]
○ | ダイナミックな枯滝石組に、枯池と苔庭で二分された地割りが見事である。 |
× | 特に見当たらない。 |