温泉寺は江戸初期(1671)に創建された臨済宗妙心寺派の寺院である。本尊は、温泉の湧出を知らせた白鷺に化身した薬師如来である。書院庭園「龍紅窟(りゅうこうくつ)」の作庭時期や作庭者は不詳である。
公式サイトには、温泉寺の書院庭園『龍紅窟(りゅうこうくつ)』は紅葉シーズンの金・土・日のみ公開と記載されていたが、電話してみると紅葉シーズンは団体予約がなければ、常時開放されているとのこと。訪問前に見学可能か確認するとよいだろう。
この枯山水は解説がなければ、枯滝石組を中心にした集団石組で囲まれた庭園という印象であるが、実は龍門瀑になっている。
龍紅窟(りゅうこうくつ)を図解してみた。まずは手前に座禅石があり、その左手にある小さな白い伏せ石が鯉に見立てた鯉魚石となっている。そして鯉が三段の滝を登り、鯉が龍になった様子を紅葉で表現している。龍門瀑とは鯉の滝登り、つまりひたすら修行を繰り返すという禅の理念を石組で表したものであり、代表的なものとして、特別名勝「天龍寺 曹源池庭園(京都)が挙げられる。
龍紅窟(りゅうこうくつ)の龍門瀑。ちなみに紅葉と建築物の影により石組が分かりにくい。雲で太陽が遮られるタイミングで撮影できるといいのだが、雲一つ無い天気で無理だった。このようなことより、庭園撮影は実は晴天より雲空や雨天の方が適していることが多い。
様々な鯉魚石をみてきたが、枯山水の大きさに対して、ここまで小さな鯉魚石は初めてみた。
ご住職の説明を受けるまで、鯉魚石の奥にある大きな立石を鯉魚石だと思っていた。
三段落としの滝石組を分かりやすいように図解。
温泉寺では、紅葉の時期にライトアップが行われる。駐車場は高台にあり、駐車場から下っていくとこのような温泉寺と下呂温泉を見下ろせる。
温泉寺の紅葉。次回は紅葉のライトアップと下呂温泉の夜景を同時に撮影してみたい。
○ | 岐阜県で唯一と思われる龍門瀑を鑑賞でき、またその構図も他に例がない希有なものである。 |
× | 特に見当たらない。 |