大村公園(玖島城跡)
おおむらこうえん(くしまじょうあと)
10年の歳月をかけ安土桃山時代末期(1599)に完成した玖島城。本丸には天守閣を造られなかった。玖島城東部には四代藩主・大村純長の屋敷が造られ、庭園の一部が残されている。
日本庭園が少ない長崎県で、かつほぼ知られていない大名庭園の遺構が桜田屋敷跡である。木々に囲まれた空間にあり、観光客が気づかず、気づいたとしても大名庭園の遺構であることに気づく人はいないだろう。江戸時代前期に作庭された庭園であるが、国道拡幅により半分が消滅している。
大名庭園の遺構であるが、力強い巨石により構成された滝石組は優美であった。
滝石組は離れ落ちの形式であり、頂部には遠山石らしき石を配置している。また鯉魚石のようにもみえる立石があり、落水した水を左右に分ける水分石も確認できる。水分石の左にある岩島が全体を引き締めている。
続いては玖島城の城池で、現在は大村公園として整備されているエリアへ。
こちらには近代作庭された巨石の滝石組がみられる。
つづいて九州最大級の花菖蒲園。毎年5月下旬から6月中旬にかけて南堀の花菖蒲園に30万本の花菖蒲が咲き乱れる。
花菖蒲園にも簡易な石組がみられるが、花菖蒲のオフシーズンだと寂しいものがある。
城郭を上り大村神社の向かいにある池泉庭園へ。
特にめぼしい石組はなかったが、亀島を想像させるような亀頭石を見つけたので撮影しておく。
○ | 大名庭園の遺構ながらも滝石組は豪壮で見応えがある。 |
× | 桜田屋敷跡の看板があるため大名庭園の遺構であることが分かるが、一般観光客には気づかない。優れた滝石組であるため、周辺の草木を整備しておいて欲しかった。 |