瑠璃光院は大正時代に電力会社「京都電燈」の役員別荘「喜鶴亭(きかくてい)」であり、庭園は桂離宮や修学院離宮の整備経験をもつ佐野 藤右衛門(さの とうえもん)によるもの。その後、高級料理旅館となり廃業後は、浄土真宗・光明寺(岐阜市)が所有。2005年に京都別院として瑠璃光院となった。瑠璃光院になったあとは2013年5月末までは常時公開であったが、以降は文化財保護のため、初夏と秋のみの期間限定公開となる。2017年より夜間の特別拝観も実際される。
紅葉や新緑のモミジが反射する様子が美しいことで有名になった瑠璃光院。お庭を楽しめるスポットは3ヶ所あるが、一番有名なのが、こちらの書院二階である。かつて常時公開であり拝観料も500円であったが、2013年以降は初夏と秋のみの特別公開となり、拝観料金は2,000円となった。
滝のような雨降る天候であったが、青モミジが映り込む様子を撮影できた。悪天候の平日、かつコロナ緊急事態宣言解除から1ヶ月以内のため、かつてない観光客の少ない時期にも関わらず、行列なく入園できたものの多くの観光客で賑わっていた。お寺の方の話では、連日300人の参拝者がこられていると話していた。
書院はこのようなスペースであり、床に反射する「床もみじ」ではなく、写経机に映り込んでいるのである。磨き上げた机であるが故に、反射する様子を撮影できる。また近年では写経机の奥に立ち入れないようになっており、撮影しやすい環境だ。書院二階には常時20人ぐらい人がいたが、コロナ前の紅葉時期だと、ひとり30秒ほどの持ち時間で入れ替え制だったとのこと。なお写経机でかつては観光客が写経していたが、現在は写経専用のテーブルが別場所に用意されている。
書院二階から「瑠璃の庭」を見下ろすと苔庭がある。雨天だけに苔がフカフカだ。
瑠璃の庭。拝観料が500円の頃は、最前列の内縁は有料のお抹茶席(1,000円)となっていた。
苔絨毯といって過言ではない瑠璃光院の主庭。苔の間を縫って造られた流れ(せせらぎ)が優美な曲線を描き美しい。
良質の苔庭であり、奥には一枚岩から水が流れ、滝石を兼ねている。雨の日は書院から観賞できる苔庭や枯山水のある庭園を巡るのがコツだと思う。
「臥龍の庭(がりゅうのにわ)」へ移動。事前知識では「床もみじ」しかなかったため、意外にも見どころが多いと感じた。
瑠璃光院は3ヶ所の書院から額縁庭園を撮影できる。
苔むした石橋は薄く、低く据えていて気品ある。桃山時代までは、石橋はこのような石橋が多く、江戸時代にあると徐々に厚みがあり、橋も高くなり、ややもすると大味になってくる。こういったなか大正時代の池泉庭園としては秀逸な石橋だ。
「臥龍の庭」では、龍の頭と胴体がある。モミジによりその様子が分かりにくくなっている。具体的には流れの奥側にあり、右手前が龍の頭となる。
茶室「喜鶴亭(きかくてい)」。名前の由来は大正時代に実業家の別荘だったころの「喜鶴亭」にちなんでいる。
書院二階の様子。常時このような状況になっているが、時折ひとがまばらになるタイミングもある。コロナ前は、11月は連日にわたって整理券行列、初夏は週末のみ行列(整理券なし)だったとのこと。整理券入手時に拝観料の支払いが必要であり、整理券には10分間隔の入園時間が記載されている。整理券の入園時間は受付付近に記載されているようなので、並ぶ前に確認するのが良い。また現金のみである。
入り口付近の苔庭。ずっと気になっていた瑠璃光院。平日で雨天であれば、紅葉ピーク時期を除けば行列を回避できるとおもうので、訪れてみてはどうだろう。
○ | 混雑ながらも写経机の奥に人が入れないようにしているのは、撮影タイミングを待たなくて良くありがたい。苔庭は厚みがあり良質で美しいものだ。雨の平日に訪れるのがよいだろう。 |
× | 床もみじの撮影のみで考えると、京都駅から1時間以上かかり、混雑必至で高額であるためお薦めしにくい。滋賀県大津市の旧竹林院は混雑しておらず拝観料も500円以内だ。 |