真宗大谷派の寺院である真教寺。お寺の方に伺うと創建は400年頃前なので江戸時代頃だろうか。庭園は昭和初期に作り替えたが、いつから存在していたかは寺院に問い合わせるが不明であるが、昭和には既にあったとのこと。平成3年に弘前市の保存緑地に登録される。
事前にお寺に電話をして見学させていただいた。本堂と書院の裏にあるため室内を経由して庭園へ出られる構造になっている。庭園は広く東側は池泉回遊式庭園で、西側は枯山水となっている。まずは池泉回遊式庭園から見学。
近年補修されたと思われる枯流れが池泉に注ぎ込まれている。飛石が枯流れを沢飛石で横切っているのが良い。お寺の方が話すには、池泉はかつては瓢箪池と呼ばれていたのこと。
大石武学流庭園ではないが、その一部要素は組み込まれていた。まずは自然石を組み合わせた野夜灯(やどう)と呼ばれる石灯籠がそのひとつだ。枯流れは巨石の石組から染み出るように流れだし、湾曲を描いて池泉へ流れていく様子が美しい。コンクリートの補修がなければ、本庭で一番の景観だと感じた。
書院から池泉の前の礼拝石まで飛石が打たれているところも、大石武学流庭園の要素を感じさせる。
通常、礼拝石(らいはいせき)は庭園のビューポイントされるが、大石武学流では供え物を置いて、神仏礼拝するためで乗ってはいけない石である。そのためか、一段大きな石となっている。庭園の左奥には三尊石組も確認できる。
望遠レンズで三尊石組を撮影。石組の場所を考えると、庭園に奥行きを与える遠山石(えんざんせき)も兼ねていると思われる。
池泉を取り囲むように、細い苑路に飛石が打たれている。
続いて枯山水へ。築山を設けた奥行きと立体感のある枯山水だ。
築山の頂部には遠山石を設けている。
枯池は苔付いており美しく、切石による反り橋を架けている。
植栽で分かりにくいが、枯池には小規模な枯滝石組が造られている。頂部の立石は遠山石となる。
築山に造られた枯滝石組も頂部に遠山石。石組主体で植栽は除去したほうが迫力がでると思う。
真教寺には徒歩3分圏内に4ヶ所に庭園があるが、私はこちらの庭園が一番感動した。観光寺院でないため、気軽に見学しにくいが、礼を尽くして訪問して庭園をめでたいものだ。
○ | 大石武学流庭園の要素を感じさせる池泉庭園と、ダイナミックな枯山水を同時に楽しめる。 |
× | 枯山水の滝石組周辺の植栽を除去したほうが迫力がでて良い。 |