金剛寺は室町時代(1394)に開創した臨済宗円覚寺派の寺院である。江戸末期の大地震で全壊するが、明治初期に再建される。本堂裏庭にある「桃源の庭」は金剛寺第17世の桃源和尚によって昭和に作庭。
googleマップを眺めていて庭園のある寺院を発見。庭園は本堂ら庫裏から眺める座観式であり、住職のご案内で見学させてもらった。
まずは庫裏から枯山水「桃源の庭」を撮影。昭和に作庭された近代庭園ながらも、角のある石を選定して利用していることで、力強さを感じさせる。
本庭園を図解するとこのようになっている。まずは正面に枯滝石組。こちらは後述するが龍門瀑とされている。亀出島と鶴石組があり、池泉奥に座禅石を配している。庭園の奥に座禅石を入りしているケースは珍しく、庭園と本堂を眺める位置を意識したのだろうか。
本庭園の主石となる滝石からの枯滝石組。滝石の岩肌をよく見ると水が流れているような模様になっており、石の選定にセンスを感じる。龍門瀑とは鯉に見立てた石(鯉魚石)をおき、鯉が滝を登る様子を禅の理念として石組で表したものである。ただ、こちらの龍門瀑には鯉魚石(りぎょせき)に相当する石を見つけられなかった。
護岸石組の左手に舟石のような石が亀石となっている。出島を兼ねていることから亀出島であろう。
雪見灯籠の左にある3石の石が鶴石組であり、少し分かりにくいので次の写真で説明する。写真左手には三尊石を据えている。
鶴石組は3つの立石で構成されており中央の石が一段低くなっている。両側の石が鶴の羽を模した羽石、中央の低い石が鶴の組みを模した鶴首石となる。鶴石組は抽象的で分かりにくいことが多いが、こちらの鶴石組は説明を受けると具象的であることが分かり、私の知る限りでは同種の意匠はなくユニークなものだ。
本堂の書院から額縁庭園を撮影。
金剛寺にはいくつもの「わらべ地蔵」が置かれている。静岡の石彫刻家によって生み出された地蔵石で、境内の各所に隠れている。こちらは合掌したお地蔵さん。
「わらべ地蔵」を探す小学生向けイベントなども開催しており、地域に愛される寺院を目指していることがわかる。
庭師と現住職で並べた延段。「桃源の庭」はまだ作庭途中であり、少しずつ改良を行っていくとのこと。数年おきに訪問して違いをみてみたいと感じた。
○ | 鶴石組の意匠が具象的でユニークであり興味深い。石組好きな人なら、本石組を眺めるだけに訪問する価値がある思う。 |
× | 特に見当たらない。 |