地蔵院は臨済宗の寺院であり、室町時代(1368)に夢窓疎石(むそうそうせき)によって開山された。応仁の乱により荒廃したが江戸中期に再興。頓知アニメで有名な「一休さん」のモデルとなった一休宗純が6歳で出家するまで母と過ごしたと伝わる。庭園「十六羅漢の庭」は宗鏡禅師にて江戸時代に作庭されたと伝わる。
日本初の作庭家ともいわれる臨済宗の禅僧・夢窓疎石が開山した地蔵院。別名「竹の寺」と呼ばれるが、方丈前に江戸時代に作庭されたと伝わる枯山水が残されている。
方丈からの額縁庭園を撮影。近隣の苔寺として名高い「西芳寺」にも引けを取らない美しい苔が広がっている。
「十六羅漢の庭」と名付けられてた庭園は平庭枯山水である。羅漢とは正しくは阿羅漢といい、尊敬を受けるに値する聖者を意味する。つまり「十六羅漢の庭」のは16の石を羅漢に見立てている。
方丈からの座観式であり、庭園内には立ち入れず望遠レンズを利用しないと16石を確認するのは難しい。
また良質な苔に覆われており、石なのか木の根なのか判別が付きにくい。ただそれもまた一興。石を数えることを楽しむ自分もいる(笑)。
公式サイトでは「当院の羅漢は男山の八幡宮に願をかけているので、その方向(左手後)に少しずつ傾いている」と記載されている。
巨石もあれば天を突くような立石も。庭園は生垣で囲まれており、生け垣も丁寧に整備されている。
周辺が木々に囲まれた環境により直射日光に当たりにくいことも、苔のコンディションが保たれる要因のひとつだろう。
広角レンズで「十六羅漢の庭」を撮影するが、同一視点で16の石を観賞するこはできない。
ハート型の猪目窓。猪目(いのめ)は日本古来からある文様であり、禅寺の屋根や神社の鈴などに使われ、魔除けや福を招く意味が込められている。猪目窓はかつては特定期間のみの限定公開であったが、現在は常時公開となっている。
瀟湘八景の図が描かれたふすま。中国湖南省の瀟水と湘水の二川が交流して洞庭湖に注ぐ所を瀟湘といいえ、この地の景勝八つを選んだものである。なぜ、このふすまに注目したかというと、山口県周南市の漢陽寺に重森三玲の作庭した瀟湘八景の庭を思い出したからである。瀟湘八景の庭は滅多に公開されない枯山水であるが、とても感銘を受けたため、このふすまにも注目したくなったということである。
枯山水であることを忘れるほどの苔の美しさに魅了される。
山門から方丈に向かう参道では、竹の寺らしい光景を感じさせてくれる。西芳寺(苔寺)から徒歩6分ほどの距離にあり、合わせて拝観してみるのが良いだろう。
○ | 苔が見事なまでに良質であり、16石も岩肌も良く、苔付いている石もありシンプルながら美しい。 |
× | 特に見当たらない。 |