漢陽寺は室町時代初期の1374年に創設された臨済宗の寺院。大本山・南禅寺の別格地であり南禅寺派にあたる。観音寺には7つの庭園があり、そのうち6つは重森三玲(しげもり みれい)が晩年8年の歳月を掛けて造られた。「瀟湘八景の庭」は昭和48年(1973)に作庭された通常非公開の庭園である。
モダンな庭園造りで知られる日本庭園史の研究家・重森三玲によって作庭された庭園が6つもあり、三玲の作品がある寺院で最も感動的な出会いであったのが漢陽寺。そのなかで、「瀟湘八景の庭」は通常非公開であるが、住職の配慮によって特別に見学させて頂いた。なお、常時公開エリアの「漢陽寺」はこちらで紹介。
重森三玲の作品を多く見てきた方なら、すぐに三玲もしくは重森ファミリーの作品であることが分かるだろう。枯山水を大胆に市松模様に区割り、石を立てる手法など特徴が現れている。たとえば、市松模様であれば重森三玲の作庭した東福寺 本坊庭園(京都)が初作品となる。
特定の方向から眺めると三尊石になるのは意図しての配置だろう。
白砂と赤土を使い分けた枯山水は、さすがと思わせるデザインセンスである。また刈込みはマス目によって高さを変え、変化を付けている。
マス目に石を食い込ませている。この手法は、のちに長男の重森千靑(ちさを)氏が真如堂 随縁の庭(京都)で活かしている。真如堂ではマス目を多角形にしていて面白い!
植栽は刈込みだけと思わせながらも、よく観察すると塀側の2マスだけ苔庭になっている。
最後の1枚は一般公開されている6つの庭園のうち代表的な「曲水の庭」。「瀟湘八景の庭」の見学条件は厳しく、なかなかお目見えできないが、「瀟湘八景の庭」に訪問できなくとも十分すぎるほど満足できる。周辺には他に庭園もなく、目立った観光地もないエリアであるが、足を運ぶだけの価値ある寺院であることを保証します。
○ | かつて見たことのないようなデザインニングされた枯山水に感銘を覚える。 |
× | 特に見当たらない。 |