明治17年(1884)に清水徳川家 第6代当主・徳川昭武(あきたけ)が造った別邸。増築を経て9棟が廊下で結ばれ、部屋数は23ある。1991年に一般公開され、2006年に邸宅が重要文化財、2015年には庭園が「旧徳川昭武庭園(戸定邸庭園)」として国指定名勝に登録された。2018年5月には書院造庭園と東屋庭園の約2年かけた復元工事が完了。
庭園の復元工事が完了した2日後にさっそく訪問。受付を済ませて廊下を歩いていくと、まず現れるのが表座敷棟の客間と二の間。
客間から書院造庭園を眺める。池泉や石組のない近代的な庭園。そう、本庭園は現存最古の洋風庭園なのだ。現存最古して眺めると感慨深い。書院造り:室町~江戸初期かけて成立した住宅様式。これに対して、平安時代の貴族が住んでいた屋敷を寝殿造と呼ぶ。
標高25mの小高い丘にあるため、遠くには江戸川沿いの街が広がる。
中座敷棟から中庭を眺める。縁側も置かれた大きな平石に目が留まった。
離座敷棟の座敷から額縁庭園を愉しむ。といっても、庭園ではないので額縁新緑という言葉が適切だろうか(笑)
入園客の少ないタイミングであったたため、障子を移動させてみた。どうだろう、こちらのほうが締まりがいい感じ。
中座敷棟の座敷にある丸窓。部屋数が多いため見逃しがちであるが、これは額縁庭園好きには堪らない要素である。
障子を全開にしてみる。うーん。やはり障子で一部隠れている方が趣がある。比較して初めてその違いが分かる。
表座敷棟の二の間から玄関(受付)方向を眺める。明暗と遠近感の両方が際立つ写真になった。
表座敷棟の使者の間の縁側を撮影してみる。
使者の間の雰囲気。押入れの床板はケヤキの一枚板が使われ、目立たないところであるが豪華さが伝わる。またケヤキに反射した新緑が美しい。
戸定邸を出て、隣接する東屋庭園を散策。2018年に整備され無料開放されている。
東屋庭園に建つ茅葺(かやぶき)の東屋からは、常磐線や江戸川に架かる葛飾橋などを見渡せる。
戸定邸の案内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | 額縁庭園をひたすら楽しめる。洋風庭園であるものの、中庭などに日本庭園を感じることもできる。 |
× | 庭園にでて戸定邸の外観を庭園越しに眺めてみたいが、月に3日ほど設定される「戸定の日」のみである。訪問日には注意しよう。なお額縁庭園の撮影を目的とした場合は「戸定の日」は、外した方がいいだろう。 |