村上藩主の家臣であった儀右エ門 善高(ぎえもん よしたか)が、関川村に転居した旧家。庭園は江戸中期に、京都から遠州流の庭師を招いて造園。母屋と土蔵は、昭和29年(1954)に国の重要文化財に登録。庭園は昭和38年(1963)に国指定名勝に登録。6年の歳月をかけて大修理が2015年に完了。遠州:江戸幕府の茶人としても知られる庭園デザイナー・小堀遠州のこと。
渡辺邸を訪れる前に100ヶ所ほどの庭園を巡ってきたが、座敷から眺める庭園としては最も感動を覚えた。開園同時に訪れたこともあり、静寂なる奥座敷で庭園観賞に浸れ、午前中ずっといたくなったぐらいだ。
黒石をくり抜いて造られた手水鉢は品格を演出し、その奥には苔庭が広がりをみせる。特に、苔が素晴らしく寝転がりたくなるほどのフサフサだ。
池泉の中央部にある洲浜と雪見灯籠に注目したい。雪見灯籠は、水際に設置して水面を照らすため使われる。ちなみに傘にみえる部分が六角形なので「六角雪見灯籠」として区別される。他には丸型の「丸雪見灯籠」がある。
よく見ないと気づかないが、木製の反橋が架けられている。苔具合から歴史の長さを感じられ、池泉には他3ヶ所に石橋が架けられている。
思わず正座をしたくなる大座敷。係の方に撮影して頂いた。
邸宅は2階建てになっており、庭園に面した座敷からは、このようなショットを眺められる。
大座敷を見下ろす。苔庭の美しさがよく分かる。
母家は土間を挟んで大座敷の反対側にも座敷がある。こちらは前座敷から中庭を望む。前座敷には2階もあり、中庭を見下ろせる。
渡辺邸では障子にも注目したい。私が確認しただけで、2階に和紙で鯉があしらわれている障子が2ヶ所あった。
囲炉裏には火が灯され雰囲気を醸し出す。
2階から格子越しに庭園を見下ろす。隙間からみる庭園も味がありますね。
再び大座敷に戻ってくる。飛石から続く石橋を眺める。それにしても、苔も美しいが、池の周りに配置された石のバランスも素晴らしい。
立ち上がった視点からの庭園の眺め。庭園には立ち入れない鑑賞式庭園であるが、様々な視点から観賞できるため満足度が高い。
渡辺邸の庭園案内図。いつもながら「心字池」は、どこも「心」の文字には見えない・・・ [ 案内図を拡大する ]
○ | 大座敷から、池泉、反橋、苔、飛石、石橋、築山、洲浜、石灯籠、枯滝と日本庭園のあらゆる要素が見渡せる。 |
× | 母家の北側にある新座敷へ立ち入りできないため、庭園北側を眺めにくい。 |