古民家 山十邸
こみんか やまじゅうてい
古民家 山十邸は、この地域で豪農・熊坂半兵衛の邸宅だった。「山十」は熊坂家の屋号であり、明治16年(1883)に建築された。平成元年(1989)より一般公開され、平成21年に登録有形文化財に登録される。
このエリアでは貴重な古庭園である古民家 山十邸。明治中期に建徳された薬医門を潜って受付を済ませる。
写真中央に枯滝石組を造ってあり、流れのような意匠で枯池を造っている。ただ、母屋から眺めると手前の刈り込みが枯滝石組の視界を奪っている。
枯滝石組に近づいてみる。頂部に遠山石を据え、水が流れ落ちる水落石は垂直に立てられている。滝上部の両側の石は凹凸の多い岩であり、ここだけ石の種類を変えている。また滝上部には石橋を架けており、玉澗流的な風合いを見せている。玉澗流とは、滝上部に石橋を渡す手法であり、安土桃山時代に作庭家・上田宗箇(うえだ そうこ)によって生み出され、宋の有名な水画家・玉澗の山水画がモチーフとなっている。
母屋と平行して飛石を敷き、枯池の護岸石組は厚みのある石で囲まれている。
庭園南部を撮影。
最後に母屋から額縁庭園を撮影。なおこちらではコスプレ撮影のロケ地としても知られているようだ。貸し切り利用もできるため、事前に一般見学できるか電話で確認してから訪問するほうが良いだろう。
○ | 玉澗流的な意匠をもつ枯滝石組は、岩肌がまったく異なる2種類の石を用いて構成されていて興味深い。 |
× | 枯滝石組の手前にある刈り込みが、観賞の視界を妨げている。 |