大正7年(1918)に明石公園が開園し、江戸時代初期の剣術家・宮本武蔵が作庭したとされる樹木屋敷(庭園、茶屋などの総称)を、NHK「武蔵」の放送に合わせて平成15年(2003)に整備して「武蔵の庭園」として公開された。
青石による豪壮な石橋は、旧徳島城表御殿庭園(千秋閣庭園)を思わせる立派なものだ。本庭園での一番の見どころといって良いだろう。
中島には青石で両側から橋を架け、橋添石も4ヶ所に据えている。橋添石には橋に安定感と躍動感を与える役割があり、滝添石がないと、石橋が浮いたような印象で、またいつかは沈んでいくようなイメージも与えてしまう。また、中島は亀島になっており、左端の斜めに組んだ石が亀頭石となる。
亀頭石を撮影。亀頭石の角度によって時代が分かることもあり、桃山時代には写真のように傾斜角度が強くなった「強角度斜石手法」がみられることが多い。出典「古庭園の観賞と作庭手法 著:吉田徳治」
反対側の石橋は橋添石が2石となるが、立石を使うことで橋に力強さを生み出している。
大滝(雄滝)は巨石を用いているもののやや大味な造形である。
頂部には遠山石であり庭に奥行き感を生み出している。また写真下部の石は流れ落ちた滝を左右に分ける水分石だろう。
宮本武蔵の庭園には2つの滝石組が造られることが多く、こちらでも小滝(雌滝)がある。
小滝(雌滝)は写真左の青マーカーの部分であり、案内板もあるが案内板側からは小滝は見えない。対岸に回り込んで赤矢印の方向をみると、正面に先ほどの小滝がみえるのである。見落としがちなポイントであるので注意が必要だ。
滝頂部に登ることができるので庭園全景を撮影。巨大なマンションは明石駅に隣接したプラ34階建てのプラウドタワー明石だ。
武蔵の庭園 案内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | 亀島に見立てた中島の護岸石組と、中島を繋ぐ石橋が豪壮で美しい。 |
× | 時期的なものかもしれないが、池泉(乙女池)が金魚藻で覆われてしまっている。 |