古知谷 阿弥陀寺は江戸初期(1609)に弾誓上人(たんぜい)が開基した浄土宗の寺院。皇族と縁故が深く、江戸時代には入江御所、閑院宮より掛幡などが送られている。庭園については住職に伺うと、枯山水は20-30年前に作庭されたとのことで、2000年前後(平成)のものであることが分かった。
中国式楼門の山門を抜け、長い参道を10~15分ほど登って行くと山寺・阿弥陀寺へ到着。枯山水は元々伽藍であったところを取り壊して、20~30年前に枯山水に作り替えたとのことである。背後の山全体を借景としており、コンパクトながらも奥行きと立体感のある庭園を演出している。
白砂敷きの枯山水に苔の野筋を設け、巨石の配置もバランスが見事である。手前には舟石を置き、山中ながらも海を感じさせる。
各島は三尊石で構成され、刈り込みや詳細の大きさも丁度良い。
枯山水東部も処理も美しく優雅さを感じる。
庭園東部には円形にくり抜かれ、少し大きめの石が五石置かれている。いここだけ幾何学的な造形で気になるが意図は分からなかった。
本堂から額縁庭園を撮影。
本堂西側には小さな池泉庭園があり、こちらは枯山水より古い時代に作庭されたものだろう。
その奥にも段々畑のような池泉庭園がある。
受付横の枯山水は苔の強さを感じるものだ。
舟石のある枯山水の奥には「瑞雲閣」がある。茶室風に造られた書院であり、尾道の実業家・山口玄洞が寄進したものであり、本人が訪問したときに、瑞雲閣に宿泊していったとのこと。
瑞雲閣の前にも小さな枯山水が設けられている。
瑞雲閣の入口には獅子のようなものが彫られた手水鉢があり、ここから枯流れで処理されている。
古知谷 阿弥陀寺は中国式楼門の山門手前に広い駐車場があり、徒歩10~15分で寺院に到着する。また参道上部にも5台ほど止められる駐車場(写真がその場所)があるが、ここまでのアプローチは離合不可能な狭い道路であり、混雑時はUターンできず悲惨な状態になりそうなところだ。取材時は11月15日の水曜日であり、混雑はしていなかったが、紅葉シーズンの週末は車で参道上部まで登るには控えたほうが良いだろう。
○ | 品格を感じさせる枯山水と雄大な借景により、自然と一体化して庭園をゆっくりと観賞できる京都の穴場的な寺院といえる。ただし車以外では訪問は厳しい。 |
× | 特に見当たらないが、ここを起点に国道477号線で西部に向かうのは、離合が厳しい箇所の多いアップダウンのある山道であるため、全くお薦めできない。 |