明治・大正時代にニシン漁で富豪となった青山家の別荘。大正時代(1923年)に建築され2010年に有形文化財に登録。平成になって株式会社貴賓館が旧青山別邸を買い取り、旧青山別邸の観光事業と貴賓館にて和食処を運営する。旧青山別邸の庭園は株式会社貴賓館の買い取り後に新たに作庭されたものである。
歴史の浅い北海道には本格的な日本庭園は少ない。そのなかで平成に作庭された近代庭園ではあるが、北海道屈指の日本庭園を楽しめるのが旧青山別邸である。観光客には「にしん御殿」という名の方が分かりやすいだろうか。館内は撮影禁止であるが、庭園は撮影が許されている。(庭園内は散策はできない)
巨大な別荘に対峙しても見劣りしないよう巨石を用いた枯山水は力強い。枯滝石組のような意匠で石橋の奥には滝石と思われる立石があり、その左奥には五重の石塔を置いている。
枯山水の主石となる立石の左には赤松を植樹している。この赤松はパワースポットになっているようで、、、
龍が舞い降りてきているかのように見えるとのこと。分かりやすいように図解してみたが、いわれてみればそのようにもみえる。説明によると降り龍は、天から舞い降り、地上の守り神とされているとのこと。龍は十二支のなかでも、唯一空想上の生き物として存在し重要なポジションを占め、縁起物としてもその力は強く開運を招くと言われているとのこと。青山家が「にしん漁」で冨を得たように見学者にも素敵な運が訪れるとよいですね。
二階から枯山水を見下ろす。この枯山水は雪解け水が庭に流れる様子を表現しているとのこと。
庭門から沓脱石までは巨石による飛石を配置している。中央の茶色い石は礼拝石だろうか。
内廊下から枯山水を眺める。
大きな石燈篭を置いている。この石燈篭が枯山水の目立つ場所にあると浮いてしまうが、建物に隣接した場所に設置することで枯山水の魅力を壊すこと無く適切な場所に配置している感じた。
北庭には池泉庭園を設けている。こちらには撮影OKのマークは無かったが受付で許可を頂き撮影を行う。段差を活かした滝石組があり、フロントとサイドの2方向から観賞できる。
斜めの斜面を活かして滝石組と池泉を設ける構図は、淡路島最古の庭園である妙勝寺を思い出すものがある。
二段落としの滝石組で、手前に置いた青石による立石が全体の景を引き締めている。ただ手前の出島にある石燈篭の主張により、青石が弱まっているため、岬燈篭のような小さなものであれば尚芳だ。
旧青山別邸の外観。
玄関そばにも枯山水を造っている。
旧青山別邸は総工費31万円。現在の価格に換算すると30億円といわれる豪邸であり、大正6年から6年半の歳月を掛けて閑静した豪邸である。
○ | 豪邸に負けない枯山水と池泉庭園は、有形文化財の建築物にも引けを取らない名園であり、特に北海道では本格的な日本庭園を観賞できる貴重な存在である。 |
× | 特に見当たらない。 |