永保寺
えいほうじ
永保寺は日本初の作庭家ともいわれる臨済宗の禅僧・夢窓疎石(むそう そせき)によって、鎌倉後期(1313)に開山。山号(仏教の寺院に付ける称号)は虎渓山。庭園は夢窓疎石によるものと伝えられる。永保寺庭園は昭和43年(1969)に国指定名勝の登録を受ける。開山:初代住職
夢窓疎石によって開山された永保寺。屋号の「虎渓山」は、中国江西省の廬山(ろざん)にある川・虎渓に似ていると疎石が言ったことに由来する。永保寺は、臥龍池(がりゅういけ)に架かる反り橋「夢際橋(むさいきょう)」と、国宝の観音堂の組み合わせが象徴的である。
岩山である梵音巌(ぼんのんがん)の頂部には霊擁殿(れいようでん)と呼ばれる六角堂があり、行基(ぎょうき)作といわれるお地蔵様がご本尊として祀られている。岩肌は切り立っており、滝が流れている。行基:日本で最初の大僧正(最高位)
自然の滝石組。
臥龍池西部の中島と岩島で構成された鶴島。
夢際橋のそばにも中島の亀島が造られている。
亀島を頭上から眺めると亀頭石や亀脚石とみえる石がある。
夢際橋の先にある観音堂の水月場(すいげつじょう)がある。
近所を散歩している方に教えてもらった陶器製の燈篭。
陶器の町・多治見らしい燈篭で全国的にも珍しいものとのこと。
周辺の自然条件を上手に活用した池泉回遊式庭園であり、正面の山の中腹には座禅石がある。険しい岩山を3分ほど登って座禅石にたどり着いても、木々の生長により視界は微妙。ちょうど1枚目の写真が座禅石からの眺めである。
細部を見ていくと、特段注目すべき石組などはない。ただ池に橋がかかり、その先に観音堂を配した浄土式庭園といえよう。
虎渓山案内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | 自然に囲まれた地形と岩山を最大限活用した美しい景観。 |
× | 石組など細部に見るべきものはない。空間全体を味わう庭園である。 |