出雲文化伝承館（旧江角邸）

出雲文化伝承館は敷地の季節風を防ぐために、10m前後の高さに刈り込まれた黒松・築地松（ついじまち）で北側と西側が覆われている。これは出雲流庭園の特徴のひとつである。

出雲流庭園では築山は控えめで平面的、そして建物に平行した短冊石、高く打たれた飛石、大きな踏み石（飛石の分岐点）などがあげられる。

滝石組とも三尊石ともみられる石組がみられる。枯流れと繋がっていることから、滝石組と見立てるのが正解なのだろうか。いずれにせよ石組が控えめな出雲流庭園では珍しい。

出雲流庭園には手水鉢もあることが多く、こちらは蹲踞（つくばい）形式になっている。蹲踞とは手水鉢の手前に人が乗る前石があり、左右に茶事に使う湯桶と、明かり取りを置く役石がある4石で構成されたもの。

出雲で人気の蕎麦屋「羽根屋」の支店が出雲伝承館にあり、店舗の中や外から庭園を眺めることもできる。旧江角家からはみられない角度のため「羽根屋」でのランチをお薦めしたい。

枯流れには自然石の板石で低めに橋を渡している。平面的なのが特徴のひとつでもあるため橋添石はない。

庭園内を周遊できるように飛石を打っているが、園内は立ち入りできない。

蕎麦屋の外側から庭園を鑑賞する空間。

ちなみに伝承館には露地「独楽庵」があり、こちらは出雲エリアで最高峰の庭園と思われるもの。出雲エリアを訪れたならば、必ず見学してほしい。

旧江角邸の案内図。庭園は全領域、建築物は一部だけが移築されていることがわかる。 [ 案内図を拡大する ]