芙蓉園(旧白毫院庭園)
ふようえん(きゅうびゃくごういんていえん)
延暦寺の僧侶の隠居所でもある里坊のひとつである白毫院。庭園は江戸初期(1658~1660)に白毫院が建築された当時に作庭された。明治初期に料亭・芙蓉園の所有となる。
芙蓉園は料亭名であり、国指定名勝の庭園は「旧白毫院庭園(きゅうびゃくごういんていえん)」と呼ぶ。個人ブログなどでは食事した方のみが拝観できるとあったが、訪問時は「洞窟・庭園 有料見学 300円」と看板があった。紅葉時期のみの配慮であろうか。また看板には園内撮影禁止と記載されていたが、これは受付前の敷地内での無断撮影禁止のことであり、食事もしくは有料見学者は自由に撮影できるとのこと。
手入れが行き届いていない感じもありますが、出島から伸びる石橋付近には鋭い意匠がみられ、旧白毫院庭園で一番の見どころだろう。
薄くて折れそうな華奢な石橋が美しく、沢渡の形式にしている。
池泉を取り囲むように苑路が作られた池泉回遊式庭園である。
池泉西部には滝があるが、自然木で作られているようにみられる。
出島と石橋を望む。園内の解説によれば、「やや細く長く作られていく南東部に栗石を敷いた出島があり、桂離宮の天橋立に対する栗石の浜を小さくした扱いがあり共通点した点がある。」と記載されていた。少し強引な解説にも思うが、石橋と出島の意匠が美しいのは事実である。
富士山を模った築山に掘られた洞穴。この洞穴も江戸初期に作られたもので、飢饉を救うために多くの飢人を雇って築いたものである。また、築山にはスケールの大きな枯滝石組もあったが、見忘れてしまった。残念・・・
2011年の映画「プリンセストヨトミ(堤真一、綾瀬はるか)」で、豊臣秀頼の息子が逃げる抜け穴として撮影された洞穴でもある。
○ | 室町から安土桃山時代を感じさせる出島と石橋の意匠が美しい。 |
× | 全体的にやや荒廃している感がある。植栽の整備により本来の美しさが蘇るだろう。 |