Genji Kyoto (源氏京都)は令和4年(2022)に開業した全19室が和畳のスイートルームであり、ミシュランガイドのホテル基準「One MICHELIN Key」を2023年に獲得したスモールプレミアムホテル。ロビーにはアメリカ生まれで現在、京都で作庭家として活動しているマーク‧ピーター‧キーンによる枯山水「浮舟の庭」がある。
鴨川のほとりに立つプレミアムホテルに、作庭家・マーク・ピーター・キーンによる「浮舟の庭」がある。同氏の作品は法然院の「天の川」などがある。「浮舟の庭」はホテルロビーにあるため宿泊者向けであるが、今回特別に見学させていただいた。
到着時は既に日没後であったが、ライティングにより幻想的な枯山水を見学できた。解説によれば「浮舟の庭」は、 源氏物語の「浮舟」を 寓意的(ぐういてき)に表現したものである。つまり、 浮舟の中に登場する舟は人生の無常(人生のはかなさや移ろいやすさ)を表しており、また宇宙を漂う私たちの地球と解釈することもできるとのこと。寓意的とは、難しい話を、具体的なストーリーやキャラクターに置き換えるようなもので、分かりやすい例でいえばイソップ寓話「ウサギとカメ」は表向きは動物のレースですが、本当の意味は「才能があっても油断する者は、地道に努力する者に負ける」という教訓になっている。
「浮舟の庭」が秀逸なところが、川の流れを石で表現しているところである。
無数の小粒の平石を集め、それを縦に並べて水流を表現している。水流を表現した枯山水でいえば、同じ五条エリアに真如院があるが、真如院は平石を寝かせて並べることで水流を表現している。どちらも膨大な手間を要するものであるが、その手間がこの美しさを生み出している。
中庭とロビーは開閉式の窓ガラスで仕切られ、見学を申し出たときには、このようにガラス戸を開けていただき、ロビーと枯山水が一体化するような設計になっていた。
こちらが舟石。浮舟と呼ばれた女性が求婚者のうちの一人と舟に乗って宇治川を渡る様子を表しており、苔むした石は、銀河系を漂う地球を象徴し、自然や私たちすべてを乗せ、生命の永遠性を表現している。
今にも舟が動き出しそうな躍動感。
平石は1列1列整列しており、精密に石を並べることで、この整然とした美しさが生み出せるのであろう。
流れは渡り廊下を挟んで反対側にまで延びている。
滝を模したような1枚岩。よくぞこのような石を見つけてきたものだと感心するほどのものである。夜間は少々分かりにくいため、日中に改めて観賞したいと思った。
ホテルスタッフのご厚意で、ルーフトップのスカイフォレストガーデンへ上がらせていただいた。
鴨川越しに七条・京都国立博物館・東山方面の夜景も楽しめる。
橘の花をイメージした「たちばなテーブル」も素敵である。ちなみに当日は小雨であり、我々が到着すると宿泊者でもないのに、ハンドタオルを貸していただくなど、とてもホスピタリティの高いホテルであったことを付け加えておきたい。
| ○ | 平石で流れを表現した「浮舟の庭」の躍動感と、昼夜問わず美しく観賞できる空間設計が見事である。 |
| × | 特に見当たらない。 |