昭和29年に現在地に再建された岸和田城。その敷地に前年となる昭和28年(1953)に、日本庭園史の研究家・重森三玲(しげもり みれい)によって作庭され、2014年に国指定名勝を受ける。
重森三玲による「八陣の庭」は国指定名勝に登録された枯山水。庭園は無料開放されており、まずは有料の天守閣から庭園全景をみおろす。本庭園は天守閣から見下ろすことも意識した意匠のため、訪問時は登城して欲しい。
枯山水の中央に「大将」の石組を取り巻くように8つの石組を配置している。これは三国志の諸葛孔明(しょかつこうめい)の「八陣法」をイメージ。「八陣法」とは大将を中心に8種類の部隊を配置する兵法である。それでは、大将から順に石組を観ていこう。
「大将」の石組。中央の立石が大将となり、周辺の各陣形を指導している様子に見立てている。また天守閣からは分からなかったが、青石で造られたジグザクの線は上・中・下段の三段構成され、その上段に大将を配置している。
大将を別角度から撮影。360度どこからみても破綻のない石組になっている。
「鳥陣」は8つの立石、横石、伏石によって鳳凰が天空に羽ばたく様子に見立てている。立石が鳳凰の首となり、横石で羽を表現しているのだろうか。
「地陣」は3つの伏石で構成し、動かない様子を表している。
「虎陣」は11個の石で猛虎が吠える様子に見立てている。
「天陣」は長石を立て、陣勢が上天に昇る勢いを表現。
「蛇陣」は大蛇が獲物に飛びかかる勢いを表現。左の石は2石で構成され、合計3石で構成している。
「雲陣」では、雲が常に変化する様子をイメージし、手前の石は雲の流れのような筋があるのが面白いところだ。
「竜陣」は竜が海から天に昇る様子に見立てている。これは東福寺の龍吟庵を凝縮したような意匠である。
最後に「風陣」。7つの横石で暴風吹き荒れる様子を表している。
国指定名勝を受けた重森三玲の庭園は、私が過去に訪問したところでは八陣の庭と、東福寺 本坊庭園(八相の庭)のみであるということだけでも、訪問価値のある庭園だと思う。
○ | 地上と上空から庭園を眺められる。それも天守閣から見下ろすことで全貌を確認できるというのが楽しい。 |
× | 特に見当たらない。 |