神宮寺は平安時代(880)に開基された寺院で、沼島城主である梶原氏の菩提寺でもある。書院に面した枯山水の作庭時期は、寺院が現在の地に移転した江戸初期と推測されている。
淡路島から小型船で10分の距離にある沼島(ぬしま)に県指定名勝の枯山水が残されている。事前にお寺に電話をすると当日は不在であるが、自由に見学して良いとのことだった。現地入りすると、庭門などは無く常時開放されおりいつでも見学できると思われる。
本庭園は裏山の斜面に盛り土で築山を造り、そこに作庭された築山式枯山水である。築山に向かって舟石とされる岩島を配置している。
舟石は板石で構成された三尊石に向かっているようにみえる。神宮寺庭園では沼島特有の結晶片岩(結晶片岩は縞模様が見分ける特徴)の板石が多様しているのが最大の特徴になっている。
正面から眺めると結晶片岩の板石が意欲的に組まれ、力強さを感じさせる。そして注意して見ていかないと気づかないが、正面に枯滝石組が造られている。
分かりやすいように図解すると、青線で囲まれた石組が枯滝石組となっている。そして築山頂部あたりには遠山石も配している。
遠山石をズームレンズで撮影してみると二石で構成されている。
少し角度を変えて撮影すると、2石になっていることがよく分かる。
結晶片岩の板石を「人」字型に組み合わせた手法により、まるで石が活きているかのような力強い意欲的な枯滝石組を生み出している。
築山の奥の石壁も結晶片岩の板石を重ねたものである。
舟石から築山に向かって石段を造り、斜面には板石を覆い被せ、その奥は先ほど同様に板石を重ねている。
書院からの眺め。飛石が湾曲して並べているのはデザイン性だけではなく、飛石を進むごとに視点が変わり景観の変化を楽しめるように考慮しているからだろう。
入口付近の飛石からの眺め。板石を立体的に組まれているので、眺める場所によって景観が大きく変わっていく。まるでパラパラ漫画をみているような感じだ。
沼島汽船には十分な客席があり、揺れも少なく乗り心地が良かった。天候によって運行状況が変わるので乗船当日にも公式サイトで確認することをお薦めする。またフェリー乗り場から神宮寺までは徒歩5分であり、庭園撮影の最短所要時間は30分だろうか。私は沼島の滞在時間は40分であった。なお沼島にはもう1ヶ所庭園があるが、土砂崩れにより当面復旧されない状況で見学はできなかった。
○ | 結晶片岩の板石が立体的に組まれた力強い枯山水である。淡路島から汽船を乗り継いで訪問するだけの価値ある庭園であると自身をもっていえる。 |
× | 特に見当たらない。 |