観智院
かんちいん
真言宗の総本山である東寺の塔頭寺院である観智院は、別格扱いの格式高い寺院である。国宝客殿の前庭「五大の庭」は、真言宗立教開宗1200年の事業とし2017年に「長者の庭」という枯山水庭園に作り替えられた。また室町時代に作庭されたと伝わる枯山水「四方正面の庭」がある。
2017年に「長者の庭」という枯山水庭園に作り替えられた国宝の客殿前庭園。かつての枯山水「五大の庭」は具象的であったが、「長者の庭」は抽象的な表現になっている。
築山には隠岐島の赤松を植樹。作庭当初は苔で覆われていたが、訪問時は大半の苔が枯れていた。
築山と平岩は、切石の石橋で繋がっている。
室町時代から残る枯山水「四方正面の庭」。河の流れを栗石で表現して、先ほどの「長者の庭」の大海へと繋がっている。
「四方正面の庭」は渡り廊下をくぐり、
上流へと繋がる。上流の立石は滝を表現した滝石だろうか。
さすがに室町時代から姿を変えていると思われるが、大海に繋がる河川を表現した枯山水というのは当時のままだと信じたい。
本堂の北側に茶室「楓泉観」へと繋がる廊下は雪見障子であり、枯山水を楽しめる。
茶室「楓泉観」
露地は、飛石と敷石でエリアを区分しているような地割りである。露地:茶室の庭園
坪庭には、龍の頭のような石がみられる。このように、築山と横石を組み合わせた意匠は志度寺 無染庭でも見られる。
再び客殿から額縁庭園を撮影。室町時代と平成の庭園が繋がった、他に例をみない枯山水だろう。
○ | 室町時代と平成時代の庭園が河川で繋がった希有な枯山水である。また「長者の庭」の石橋が切石ながらも低く組まれ華奢で品格を感じさせる。 |
× | 客殿から中学校の校舎が見えてしまう。 |