北野天満宮 船出の庭
きたのてんまんぐう ふなでのにわ
学問の神様でも知られる北野天満宮は平安時代(947)に創建した神社。2027年の「千百二十五年 半萬灯祭」に向けて境内の整備が進められ、平成27年(2015)に紅梅殿「別離の庭」として(株)空間創建によって整備された。その後、紅梅殿「船出の庭」と庭園名が変更された。
北野天満宮は平安時代の貴族・菅原道真をご祭神として祀った神社である。宇多天皇主宰の「曲水の宴」に菅原道真が何度も招かれた功績を称え、菅原道真の屋敷跡「紅梅殿」に曲水庭園「船出の庭」が作庭された。
平成28年(2016)よりイベント的に年1回、船出の庭にて「曲水の宴」が開催されている。曲水の宴とは、平安時代の貴族が杯が自分の目の前までに流れてくるまでに詩歌を作って詠み、盃の酒を飲んで次へ流すという遊ぶ庭のことである。そのため、杯がゆっくりと流れていく、傾斜は緩やかで蛇行するような流れになっている。
私は曲水庭園が好きであり、特に奈良市の平城京左京三条二坊 宮跡庭園が秀逸である。奈良時代に作庭された曲水庭園を発掘再現しており、日本庭園好きであれば必ず見て欲しい名園だ。
曲水庭園の上流には滝石組を組んでいる。
正面から眺めると滝石組には見えないが、主題は「曲水の宴」であるため敢えて滝は裏方にしたのだと思われる。
斜めから眺めると水落石(みずおちいし)が僅かに見える。水落石:滝水が流れ落ちる石
園内を回遊できるように苑路を設けているが、立ち入りできないように結界が引かれている。
こちらが船出の石とみられる石だろう。
○ | 令和に作庭された新しい庭園であるが、流水装置となっている滝石組を控えめにして、曲水に視点がいくように設計されている配慮が見事である。 |
× | 特に見当たらない。 |