松山城二之丸史跡庭園は、江戸前期に2代目藩主・蒲生忠知のときに完成した藩主の邸宅跡である。平成4年(1992)に史跡庭園として整備された。「林泉庭」は新たに作庭されたものである。また水が張られた「流水園」は水と砂利と芝生で昔の部屋の間取りを表現している。
松山城の麓にある藩主の邸宅跡が史跡公園として整備されて公開されている。見どころはいくつもあるが、庭園に絞って紹介していく。まずは「林泉庭」へ。当時を再現した模型が展示されており、その模型には池泉庭園はなかったため、「林泉庭」は平成4年(1992)に史跡庭園として整備されたときに、新たに作庭されたものであると推測する。(実態を松山市に問い合わせ中)
ただ松山城のある勝山を切り開いて邸宅を造っていることから、当初から写真のような山畔は存在しており、そこに滝石組を設けている。
滝石組の前には沢飛石が打たれ、滝を観賞するための橋の役割もかねた苑路となっている。
沢飛石から滝石組を撮影。このような至近距離から滝全体を撮影するためには、超広角レンズが必要になってくる。こちらはSONY FE 14mm F1.8を利用している。
滝から流れ出た水は池泉に流れ、南北に伸びる河川を造っている。
北部には数寄屋造りの「観恒亭(かんこうてい)」があり、小間は古田織部が好んだとされる三畳台目の茶室に相伴席が付いた燕庵(えんなん)形式になっており、有料で茶室を貸し出している。個人的には茶室と山の間に渓谷を思わすような流れを設けているのが、とても風流に感じた。
観恒亭および露地には立ち入ることはできないが、周りから眺めることはできる。
上流へ向かうと、岩盤を利用した滝が造られていた。
観恒亭の露地を眺めると、露地ではおなじみの腰掛待合があり、露地門と茶室を繋ぐように飛石が打たれている。
腰掛待合から露地へ向かう動線を眺める。
続いて桂離宮等の建造物を参考に、林泉庭の上に建築された勝山亭へ向かう。その階段の横には林泉庭の上部を眺められ、このような部分にまで丁寧に石組が施されているところに感銘を受けた。
勝山亭に到着。
勝山亭からは松山城二之丸史跡庭園を見下ろせ、水が張られた空間は「流水園」と呼ばれ、水と砂利と芝生で昔の部屋の間取りを表現している。
最後に聚楽亭(じゅらくてい)。軒下などで雨滴を流す水路と沓脱石が融合しており美しい。
| ○ | 観恒亭の東側にある渓谷を思わせるような流れが美しく、風流な茶室になっている。 |
| × | 特に見当たらない。 |