三瀧観音の名前でも親しまれている三瀧寺は高野山真言宗の寺院。開山は平安時代(809)に空海と伝わる。「補陀落の庭」は昭和40年代にモダンな庭園造りで知られる日本庭園史の研究家・重森三玲(しげもり みれい)にて改修され、現在の姿となっている。開山:初代住職
紅葉時期のみ限定オープンとなる茶屋に付随した「補陀落の庭(ふだらくのにわ)」は、昭和を代表する作庭家・重森三玲によって改修された庭園。境内に3つある瀧のうち、もっとも高低差がある「梵音の滝(ぼんおんのたき)」を主景とした池泉庭園となっている。
複雑で美しい汀線をもつ池泉には中島が造られ、ひときわ目立つ立石を据えている。
茶屋の正面から撮影すると、意欲的に石を立てているのが分かる。また出島は苔山としつつも、白砂で立石に向かって苑路を設けている。
中島には青石の自然石を架け、4隅に橋添石を設置している。橋添石の存在により橋に安定感が生まれる。
梵音の滝(ぼんおんのたき)は、岩肌に水を伝わせた2段落としの滝になっている。
補陀落とは、観音菩薩が住む霊場の伝説上の山であり、おそらく中島の立石を観音菩薩に見立てたものだろう。
三尊石の奥には、山畔に集団石組がみられる。この集団石組もすべて立石としているところも、重森三玲らしさを感じられるところだ。
茶席から立石と滝を眺めていて思った。立石は観音菩薩に見立てつつ、滝石にも見立てているのでないだろうか。勝手な推測であるが、そのような意匠に感じ取れた。
蹲居(つくばい)の基本構成である手燭石や湯桶石などの役石を組んでいるが、苔むしていっそう趣深くなっている。蹲居については、新潟県新発田市の清水園を参考にして欲しい。
紅葉シーズン以外でも、このように敷地外から眺められる。ただ全体の7割りほどであり、やはり入園できる秋に訪れたいものだ。
三瀧寺 案内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | さほど広くない空間にも関わらず見応えがある。そう感じるのはダイナミックな梵音の滝(ぼんおんのたき)にも負けない池泉庭園となっているからだろう。 |
× | 紅葉シーズン以外は敷地内での見学ができない。 |