奈義町現代美術館は、水戸芸術館やロサンゼルス現代美術館など国内外多くの建築物を手掛ける建築家・磯崎 新(あらた)によって平成6年(1994)に建築された。通称Nagi MOCA(ナギ・モカ)と呼ばれる。美術館のメイン作品は「太陽の部屋」であり、建築家・荒川修作とUSA出身の美術家・マドリン・ギンズによる建築作品「遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体」が展示されている。
建築家・荒川修作とUSA出身の美術家・マドリン・ギンズの夫婦共同作品となる展示室「太陽」の前室。この筒の階段を登っていくと、
円筒状の太陽の空間には、龍安寺の石庭を模したものが左右に作られているではないですか。この空間は「遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体」と名付けられている。
筒のなかは自由に歩き回れ、反対側から撮影。石庭は絵ではなく立体的に作られており、白砂も本物を固められたような質感である。シーソも稼働する本物であるが、なぜここにシーソーが置かれたのか意図は不明だ。
まるでドローンで石庭を見下ろしているような感覚を味わえる。
赤いところが龍安寺では書院側となる。龍安寺の石庭は15石で構成され、書院の特定ポイントから極めて判別が難しいが15石を同時に眺められる。それではこちらで上空からみるとどうだろうか。
上空からみても15石を確認できるが、現地同様に「2」と「15」の石がとても判別しづらい。これはある意味驚くべきことで、それだけ本石庭が精巧に作られているだけではなく、横からでも上空からでも同じ石が同じだけ確認しづらいようにもし考えられていたとしたら、作庭者の石の配置に驚きを隠せない。
「2」の石をを近づいて撮影するとこのようになっている。
角度を変えて撮影すると、横石のようになっているのだ。
そして「15」の石は「14」の石を中心に「13」の石と対象になっている伏石だ。
「9」の石が板状の石であったり、「12」の石が円柱形であることも、このようなアングルで眺めることで初めて分かることだ。
土塀もちゃんと再現されている。
床に設置されたシーソに寝そべって天井を撮影してみる。天井にもベンチ、シーソー、鉄棒を作っている。
制作者によると距離感を喪失させるために補色が天井と床に用いてるとのこと。ちなみに荒川修作とマドリン・ギンズ夫妻の作品は、岐阜県養老町の養老天命反転地も該当する。本作品同様に異空間であり、視覚的な錯覚を体全体で楽しむ施設となっている。10年以上前に訪問したが、唯一無二な空間で訪問してみることをお薦めしたい。
○ | 庭園のレプリカではあるが、実に精巧に制作されており、通常では観賞できない視点から石組を眺められるの面白い。 |
× | 特に見当たらない。 |