旧中筋家住宅
きゅうなかすじけじゅうたく
旧中筋家住宅は江戸末期の和佐組大庄屋の屋敷であり、和歌山城建築に携わったとされる大工によって1852年に建築された。昭和49年に国の重要文化財に指定される。和歌山市が管理団体となり、10年間にわたって保存修理事業を行い、平成22年(2010)に一般公開された。
熊野古道に面した旧中筋家住宅。本邸宅には主庭と中庭があるが、見どころは間違いなく写真の中庭に造られた池泉庭園である。亀出島と鶴出島が設けてあり、写真中央が亀出島であり、左が鶴出島となっている。
鶴出島は薄くて鋭い青石による石橋を渡してあり、この石橋は鶴の首を模した鶴首石を兼ねている。また石壁も豪華で青石を積み上げたものである。
書院から池泉庭園を見下ろす。左が亀出島、右が鶴出島。
亀出島と鶴出島の組み合わせは珍しいものではないが、このような四方を囲まれた中庭で造られたのは希有である。亀出島を構成する石組も豪華で、このような池泉庭園を僅か100円で鑑賞できるのは有り難い。
鶴首石を兼ねた石橋。
鶴首石を兼ねた石橋。
続いて主庭を額縁庭園で撮影。
主庭は飛石を打った比較的シンプルなもの。
沓脱石から徐々に高さが低くなり、かつ石の大きさも小さくなっていくので、大広間から見ると遠近効果により奥行きを感じさせてくれる。
明治時代中期に建てられた数寄屋造りの茶室。写真で映っている東側に土庇をつけた貴人口(立ったまま出入りできる客用の入口)がある。また茶室横には青石の井戸と、目を惹く白石による石組を配している。
用途が判明していない井戸のような穴であるが、青石で側面が覆われた立派なもの。
井戸の奥にある小さな書院からの額縁庭園。軒先にある円柱形手水鉢がアクセントになっている。
3階の望山楼からは和佐山などを見渡せる。
旧中筋家住宅の案内図。
○ | 中庭の座観式の鶴亀池泉庭園がコンパクトながら見応えある。青石を積み上げた石壁と、青石の鶴首石などが見どころだ。 |
× | 特に見当たらない。 |