輪王寺は室町時代(1441)に創建した曹洞宗の寺院である。明治維新後に荒廃するが明治36年(1903)に再興。当時の住職・福定無外和尚によって庭園が作庭される。昭和56年(1981)に開山500回を記念して三重塔を建立。
改札口のようなゲートにコインを投入して入園。このようなシステムは初めての体験だ。北仙台駅から徒歩15分ほどのロケーションに、ここが仙台市内であることを忘れさせてくれるような木々で囲まれた庭園が広がる。
明治時代に作庭された池泉庭園は住職によって作庭されたものであり、古庭園の要素らしきものは見当たらない。
左の横石が亀頭石にみえる亀島風の出島であるが、ただの偶然であろう。
池泉は東西に別れ、池泉の間には洲浜と沢飛石で苑路が作られている。
開山500回を記念して昭和56年に作られた三重塔は、近年綺麗に塗り直したようで、まるでアートトリックのようにみえてしまう。池泉には出島が作られ、護岸石組を組んでいる。
庭園には近年作られたと思われる枯山水が3ヶ所ある。1ヶ所目は2枚目の写真、2ヶ所目はこちらで、3ヶ所目は三重塔にある。こちらの枯山水は3・2・1・1の7石で組まれた石庭である。石庭では7石や15石になっているケースが多く、日本庭園では永続性を示す縁起の良い奇数が使われることが多い。
三石は三尊石の品型に据えている。三尊石とは仏教の三尊仏になぞられて組まれたもので、中央の立石が中尊石、左右に脇侍石(きょうじせき)を据えている。
別角度から石庭を撮影。石庭には苔で覆われた野筋が作られており美しい。野筋:勾配のゆるやかな低い築山
三重塔へ移動。こちらに3つめの枯山水がある。
三重塔の1段高い場所に上がって枯山水を見下ろせる。立石、横石、平石で囲いをつくるような珍しい形式である。
白砂を大海に見立て、右手にも岩島が作られている。
5石で組まれ、大きな石だけでみると三尊石風に組まれている。またその奥のサツキの刈込み元にも三尊石がみえる。最初はもの足らない池泉回遊式庭園と感じていたが枯山水は美しく最終的に満足できた庭園である。
○ | 美しく整備された三種類の枯山水がみられる。また少し高い場所から見下ろせるのも面白い。 |
× | 池泉庭園は整備されているものの、やや荒廃感がいなめない。池泉周辺の植栽を刈り込むことで景が引き締まると思われる。 |