大正時代に、株の相場師であった松井伊助氏が63歳に別邸を建築し「六三園」と名付けられる。戦後、米軍に接収されたのち、昭和27年(1952)には和歌山銀行オーナーが買い上げ、翌年より「六三園」の名で料亭として運営。平成17年(2005)に「がんこ和歌山 六三園」として運営を引き継ぐ。
全国に100店舗ほど運営する和食レストラン「がんこ」の和歌山店は、大正時代に作庭された庭園がある。レストラン利用者以外でも庭園見学ができるため、訪問させていただいた。
古庭園としての最大の魅力は表門直前にある「鶴亀の池泉庭園」である。
まずは橋上から亀島を眺める。この角度ではどのように亀にみえるのか分かりにくい。
少し角度を変えて撮影してみると、亀がみえてくるだろうか。次の写真で図解してみると・・・
このようになっている。赤いマーカで囲んだところが亀の頭で「亀頭石(きとうせき)」、青が脚で「亀脚石(ききゃくせき)」、緑が甲羅の部分で「亀甲石(きこうせき)」となる。この図解を元に、先ほどの写真を眺めてみると、亀にみえてくるのが不思議なところだ。
続いて鶴島。鶴亀島でも鶴島は亀島よりも抽象的で分かりずらいことが多い。こちらもそうである。
しゃがんで撮影してみると、こうなっている。▲が鶴の首である「鶴首石(かくしゅせき)」、★が羽をあらわす「鶴羽石」だろう。
先ほどは橋の麓から鶴島を撮影したが、逆方向から撮影するとこのようになっている。▲が鶴首石であり、★が反対側の鶴羽石であろう。鶴亀庭園は特別名勝の南禅寺 金地院庭園(京都)が有名であり、記事を参考にすると理解が深まるだろう。
表門をくぐり内庭を散策。
紀州産の青石による枯流れが造られ、内庭では最大の見所だと感じるポイントである。
立派な石灯籠。
ロータリーには滝石組があり、龍に似た顔が彫られている。大正時代の日本庭園は全国的にも少なく一見の価値ありである。
年末ということもあり、表門には門松が飾られていた。
○ | 大正時代の鶴亀の池泉庭園が見学できるのは貴重である。 |
× | 庭園としては立派であるが、古庭園としては鶴島・亀島が見所であり、全体としては少々見応えにかける。 |