老欅荘(松永記念館)
ろうきょそう(まつながきねんかん)
電力王と言われた財界人・松永安左エ門(やすざえもん)は、近代小田原三茶人のひとり。松永が晩年を過ごした別邸が老欅荘。平成13年から一般公開。また、隣接した敷地には三越の社長などを歴任し、おなじく小田原三茶人のひとり野崎廣太(こうた)の茶室「葉雨庵」も移築された。
電力王と言われた財界人が晩年を過ごした老欅荘。国登録有形文化財で数寄屋風を取り入れた住宅である。数寄屋:「好みに任せて作った家」であり茶室を意味する。
まずは額縁庭園。手前の三角形のエリアが広間であり、その奥にL字エリアが縁座敷である。縁座敷:本座敷と縁側との間につくられる座敷。
瓦を土留めにして砂利と苔庭が仕切られている。
瓦を土留めにした砂利は縁広間に沿って造られている。これは砌(みぎり)とよばれるものでが、屋根から滴った雨が砂利に吸収され、庭を綺麗に保たれる機能を持たせている。
広間から透かし垣が視界に入らないよう斜めに造られている。ただ、なぜここに竹垣が必要だったのだろうか。。。
苔庭で1枚。土塀の模様に瓦が使われているのが興味深い。
蹲踞(つくばい)へと繋がる飛び石。蹲踞は後述。
老欅荘から丘を下り、三越・元社長の茶室を移築した「葉雨庵」へ向かう。では露地門をくぐってみよう。
茶室なので、もちろん腰掛け待合がある。客人が主人を待つスペースである。
再び蹲踞(つくばい)と出会う。左の赤枠は手燭石(夜の茶会で使う手燭(てしょく)という明かりを置く石)、右枠は湯桶石(茶室で使う湯桶を置く石)、手前枠は手水を使うための乗る前石である。手水鉢、手燭石、湯桶石、前石をあわせて、蹲踞(つくばい)と呼ぶ。
猫ちゃんに遭遇!
最後に池泉沿いの苑路(えんろ)を散策して、老欅荘のある松永記念館をあとにする。
松永記念館の案内図
○ | 駐車場も入園料も無料で、2ヶ所の露地を楽しめる。老欅荘では座敷寛ぎながら露地を眺められる。 |
× | 老欅荘は有料で茶会などに貸出がある場合、見学エリアが制限される。露地が見られる縁座敷は常時開放。 |