臨済宗建仁寺派の塔頭寺院・両足院は室町初期(1358)に知足院として創建。室町後期に「知足院・両足院」両院を併せて「両足院」と称する。室町時代までは五山文学の最高峰とされる。方丈前庭となる枯山水は桃山時代、書院前庭の池泉庭園は江戸初期に作庭。庭園は普段は非公開であるが、半夏生が咲く6月下旬から7月と秋に特別公開。
7月の特別公開に訪問した両足院。四方から眺められる枯山水「潮音庭」が有名な建仁寺の近くにあるが、公開日が限定されていることもあり訪れる人は少ない。まずは書院から書院前庭「半夏生の庭」ともいわれる池泉回遊式庭園を観賞。
明治末期に建築された茶室「水月亭」。護岸石組に沿って半夏生が白化粧している。
正面の築山にはサツキの大刈込みは東山に見立てたものとされる。
続いて、安土桃山時代に作庭された方丈前庭へ移動。こちらは築山の石組は江戸時代以前の力強さを感じさせる。角度を変えて撮影してみると、、、
築山を活かした亀石組になっている。池泉の南側にある石が亀の頭となる亀頭石であり、亀甲羅に黒松を植樹している。
亀石組を正面から撮影。両足院庭園で最も美しいと感じる石組である。ところで亀があるということは、日本庭園には鶴が隠れているものである。鶴は抽象的で分かりにくく、こちらでは・・・
池泉の形が鶴になっている。築山からみると右側が鶴の首であり、羽を広げた鶴の形になっている。また場所を変えると。左下が鶴の首となった鶴の形にもみえる。ちなみに、池泉の形状を鶴に見立てた庭園では、兵庫県豊岡市の宗鏡寺(沢庵寺)が挙げられる。
半夏生により護岸石組が書院から確認しにくい。ふと思って、秋の特別拝観に訪問した方の写真をみると、半夏書の葉がほぼなく、書院から護岸石組がみえる。石組を愉しむのであれば、秋訪問の方がよさそうである。
大刈込みには「半夏生の庭」の中心石と思われる立石。
亀石組(亀島との表記されている例もある)の亀頭石の隣には、小さな枯滝石組がある。平石並べることで水の流れを表現している。
書院前庭は、茶道の薮内流5代・竹心紹智(ちくしんじょうち)によって作庭され、茶室前の露地も同氏によるものだ。
葉が半分、白く化粧をしていることから、半夏生(はんげしょう)とよばれる。
中庭「閼伽井庭(あかいてい)」。閼伽井(あかい)とは仏膳に供える水であり、その水を汲む井戸がある。枯山水に苔庭で出島を造り三尊石を組んでいる。
最後に方丈から額縁庭園を撮影。池泉庭園、枯山水、露地を一度に愉しめる満足感の高い寺院であった。
○ | 安土桃山時代の枯山水に造られた亀石組と、江戸時代に作庭された池泉が鶴になっている。時代を超えた鶴亀庭園が面白い。 |
× | 特に見当たらない。 |