東北三大地主である斎藤家。斎藤家の第9代当主・善右衛門による明治後期に作庭された庭園。平成17年(2005)に国指定名勝を受ける。東日本大震災の被災により土蔵などが損壊しているが、庭園観賞に関しては撮影に関しても支障はない。
秋田市の池田家(旧池田氏庭園)、山形県酒田市の本間家(本間氏別邸庭園(鶴舞園))と東北三大地主である斎藤家。東北三大地主の庭園は全て国指定名勝となっている。
文献や資料には記載されていないが、鶴石組や亀石組らしき石組があったため、現地でお話を伺うと鶴石組と亀石組を設けた池泉回遊式庭園であるとのこと。
図解すると、左側が亀石組で右側が鶴石組となっている。一見、どちらも亀石組にみえるが、鶴石組から伸びる松が鶴の首に見立てた鶴首(かくしゅ)となっている。そして亀石組の右側が亀の頭となる亀頭石で、鶴亀が向かい合っているとのこと。
時代を感じさせる岩肌で、丸みをおびた石による亀石組。
亀の尾に見たてた亀尾石(きびせき)方向からみた亀石組と鶴石組。
東北三大地主の庭園はいずれも石組に大きな特徴はみられないものだと思いながら見学していたが、鶴石組の裏手から眺めるとあることに気づいた。写真中央が鶴石組の裏側となり、背後に池泉を設けている。
近づいて撮影してみると、このように角度を付けた長石をいくつも立てている。手前側からみると、丸みを帯びた柔らかなイメージであるが、裏手は力強さを感じさせてくれる。
意図的にこのような石組を使ったかは分からないが、私は力強さを感じさせる裏手のほうが美しいと感じる。
続いて江戸末期以前に建築された広間をバックにして池泉庭園を撮影。こちらは上下二段の池泉庭園になっており、
広間の左手には上段の池泉があり、左手からの斜面の水路で、先ほどの下段の池泉へと導かれる。
上段の池泉には切石による石橋を渡しており、その脇に岬燈篭のような灯籠を置いている。これ見よがしの大型な灯籠ではなく、石橋と一体化したようなサイズとデザインに好感をもてる。
中門の先にも池泉庭園があるが、見るべき要素は須磨はぐらいだろうか。
木小屋前に円形の庭を設けているが、こちらには織部灯籠を置いている。織部灯籠は竿に特徴があり、竿の下部にキリスト像が彫られていることが多い。キリスト像が彫り込まれているのはキリシタン灯籠とも呼ばれ、江戸時代初期のキリスト教禁止令後も、密かに信仰を続けていた隠れキリシタンの信仰物だった。
斎藤氏庭園の案合図(パンフレットより引用) [ 案内図を拡大する ]
○ | 鶴島の正面と裏面で石組が異なり、裏側の石組が力強く良い。また本格的な池泉庭園が少ないなかで、上下二段の池泉庭園となっているところも見逃せない。 |
× | 特に見当たらない。 |