旧荘内藩主の酒井忠良(ただなが)氏が、地域振興のため土地、建物、さらに資金の寄付により致道博物館が昭和25年(1950)に完成。致道博物館内の酒井氏庭園は昭和46年の大修理により作庭当初の姿に復元された。昭和51年(1976)に国指定名勝を受ける。
致道博物館内にある池泉庭園。案内看板には「築山林泉庭園」と記載されている。築山林泉庭園とは、池泉庭園に築山、林、茶室などを有機的に配置した庭園を意味するようだが、広義にはどちらも同じと考えて良いだろう。
酒井氏庭園で最も目を惹くポイントが、力強くねじ曲がった松のある出島。松の左手前には亀頭型の珪化木(けいかぼく)と呼ばれる名石が水中に立てられ景を引き締めている。
庭園の左側には峡谷の風景を作り出している。渓谷は日陰でよく見えなかったので、Adobe Lightroomを使った画像処理でよく見えるようにレタッチ。こういった写真の後処理を考えると、庭園撮影ではメモリの容量は3~5倍ほどになるがRAW撮影をおすすめしたい。
庭園正面にあたる築山の左手には枯滝が組まれている。
2本の松に囲まれた空間には深い入江(いりえ)が造られ、静かな趣をみせている。と看板に記載されていたが、池泉のこのような景を入江と呼ぶことを知らなかった。勉強になるなぁ。
酒井氏庭園には「旧庄内藩主御隠殿(ごいんでん)」と呼ばれる隠居所があり、額縁庭園が楽しめる。
一枚板のテーブルに新緑が反射して、なんとも美しい光景だった。これが床になると「床もみじ」と呼ばれるので、さながらこちらは「テーブルもみじ」だろうか。ということで、今日からこのような景を「テーブルもみじ」と命名します!
抹茶サービス利用者のみ立ち入れる「三餘室(さんよしつ)」。抹茶券を購入しようか考えていたところ、おばちゃんが「どうぞ中にはいって見ていって下さい」と通してくださった。営業終了間近だったこともあり、おもわぬサービスに心ウキウキ。
茶室や座敷でたまにお見かけするラッキーアイテムの丸窓。格子の組み方が実にユニークで美しい。
三餘室の全景。3面から風が抜け、暑い日でも涼を感じとれる。
最後にもう一度庭園を眺めて、次の庭園へ向かう。
○ | 案内板に庭園の見方が記載されていて見所がよく分かる。また、赤松の景観が美しく品格を感じさせる。 |
× | 回遊できる園路が短く、写真撮影に重きを置かない場合2-3分で見終わってしまう。 |