盛安寺庭園
せいあんじていえん
盛安寺は西教寺を総本山とする天台真盛宗(てんだいしんせいしゅう)の寺院であり創建時期は不明である。庭園は江戸初期(1652)の本堂再建時期に作庭されたと推測されている。
事前に電話予約をして訪問した盛安寺は、県指定名勝の庭園は客殿南庭となる枯山水である。
山畔を活かした地割りで、大刈込みで囲まれている。一見無造作に石が配置されているようにみえるが、
図解すると写真のようになっている。まず右手に傾斜のついた立石を中心とした三尊石組。中央には須弥山石組で、左には蓬莱山に見立てた蓬莱石を配している。
サツキの刈込みで立石の手前の石が隠れているが、力強い三尊石組である。
客殿から庭園を撮影。手前には自然石による手水鉢が置かれている。
三尊石組と須弥山石組を眺める。須弥山石組の頂部に須弥山を表す山形の石を据え、須弥山を中心に渦状に石を配置している例が一般的である。代表例としては、島根県益田市の萬福寺が挙げられる。
須弥山は枯滝石組を兼ねているようにも見える。
右手の山形の石が蓬莱山であり、その左には巨石をやや左に傾斜させた立石が存在感を出している。
その左には右に傾斜させた立石を配し、互いに寄り添うような石組になっている。
晴れの南庭における庭園観賞の課題となる逆光での撮影となった。事前予約推奨のため天候を選ぶことも厳しいが、観賞場所は屋根があるので、梅雨時期などの訪問も良いだろう。
○ | 枯池がない枯山水は時として見応えに架けることもあるが、傾斜を活かした地割りに集団石組で須弥山や三尊石を生み出し、力強い庭園となっている。 |
× | 特に見当たらない。 |