洗心庵(洗心苑)
せいしんあん(せいしんえん)
山形新聞社社長の邸宅だった土地を再整備して、平成25年(2013)に生涯学習センターとして開園。庭園は明治時代の日本を代表する作庭家・小川治兵衛(通称:植治)の甥にあたる岩城亘太郎(せんたろう)によって作庭。代表作としてはホテルニューオータニや迎賓館赤坂離宮の和風別館庭園などがある。
生涯学習センターとは思えない素敵な施設の「洗心庵」。当日は一番広いスペースが貸し切りになっていたが、庭園鑑賞には支障はありませんでした。
学習施設が「洗心庵」であり、付随する庭園が「洗心苑」となる。ホテルニューオータニの庭園なども手掛けた著名な作庭家によるものである。
苔むした空間は渓谷に見立てており、洗心苑で最も美しいと感じたところだ。
洗心苑には多くの石灯篭が置かれ、芝庭の先にある小型の灯籠は雪見灯篭である。
小川の中央部に石を整列させることでリズム感をだしている。
小川の湾曲する箇所にどっしりと巨石を配することで、軽やかな庭園に重厚感を与えている。
庭園南西部には滝石組を設け、水が岩肌を伝わらない離れ落ちの手法をとっている。
自然石による切石と、石臼を再利用した沢飛石によって池を横断できる。
灯籠で最も美しいと感じるのが、この織部灯籠である。織部灯籠は竿に特徴があり、竿特徴が円形でアルファベットの「F」の様な彫り込みがあり、下部には本灯籠のようにキリスト像が彫られていることが多い。キリスト像が彫り込まれているのはキリシタン灯籠とも呼ばれ、江戸時代初期のキリスト教禁止令後も、密かに信仰を続けていた隠れキリシタンの信仰物だった。
離れからはこのように庭園が広がり、とても心地よい座敷だ。
洗心庵 雪像美術品ガイドマップより引用
○ | 複雑に遣水が張り巡らせ、かつ背の高い木々により視界を遮ることで、一か所から庭全体を見渡せないようにして、歩くたびに空間が変化するような演出がある。 |
× | あえての設計だと思うが、庭園の主景となるポイントが見当たらない。 |