室町時代を代表する水墨家で作庭家の雪舟は、益田市で終焉を迎える。その雪舟の墓地に隣接した場所に記念館が作られ、平成2年(1990)にオープン。
雪舟の終焉地である益田市。町を巡っていると「雪舟」の文字をよく見かける。こちらの雪舟の記念館には、雪舟が描いた「花鳥図屏風」からヒントを得て、室町時代の枯山水を再現した「八景園」がある。庭園は記念館開園の翌年となる平成3年に完成。
苔で覆われた築山に石を据え、白砂で渦巻きの波紋が描かれている。その奥には須弥山石(しゅみせんせき)を据えている。分かりにくいため赤色でマーキング。須弥山:仏教の宇宙観にある世界の中心をなす想像上の霊山
「須弥山石」が中心石となり、築山にみられる集団石組と組み合わせて「須弥山石組」を表現している。萬福寺の庭園(益田市)では、さらに立派な須弥山石組を観賞できる。
庭園東側を眺めると、山間から河川、大海へと繋がる様子を白砂で表現している。また2石の舟石があり、写真中央にある蓬莱石から離れていく様子に見えるため、おそらく「戻り舟」であろう。
解説によるAが鶴石、Bが亀石、Cは蓬莱石とのこと。Bは舟石にしかみえない・・・
戻り舟と思われる「舟石」。戻り舟は、蓬莱山から宝を積んでいることから、蓬莱山に向かう「入り舟」よりも海に沈んだ舟を表現することもあるが、こちらがそうなのだろうか。それにしても、この舟石が自然石であれば見事な名石だ。
蓬莱山と2石の戻り舟。河川から大海へ繋がる様子を表現している。
解説によると観音岩である。
記念館には雪舟の木彫りが展示されている。
雪舟60歳後半の作品となる山水画(複製)。室町時代後期の作品である。雪舟作庭の萬福寺の庭園(益田市)、医光寺の庭園(益田市)の鑑賞後だと感動が薄くなってしまうため、最初に訪れることをお薦めしたい。
八景園の案内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | 平成に作られた庭園ながら室町時代を偲ぶ庭園である。また雪舟にまつわる資料が多く知識形成役立つ。 |
× | 庭園はガラス越しの観賞のみとなっている。 |