早雲寺は室町時代(1521)に創建された臨済宗大徳寺派の寺院。寺伝では作庭は北条幻庵(げんあん)とされるが、日本庭園史の研究家・重森三玲と長男の完途(かんと)氏の調査では江戸前期と推測されている。
箱根湯本駅から、ゆっくりと歩くこと15分の距離にある早雲寺。観光寺院でないため週末でも静かな寺院ですが、本堂裏手に安土桃山時代から江戸時代頃に作庭されたとされる枯山水「香爐峯(こうろほう)」がある。
山畔を活かした地形に大小様々な石を配している。常時開放されている観賞場に案内板があるが、なかなか分かりにくいため、補足してみると、、、
このようになっている。まず枯山水には3つの枯滝石組があると記載されているが、この写真では2つで3つめは後ほど紹介。山畔頂部に据えた立石が本尊石で、鶴石組と亀石組があることから蓬莱石も兼ねている。蓬莱山とは不老不死の仙人が住む山とされ、長寿の象徴である鶴石組と亀石組とセットで組まれることが多い。つまり、この庭園は蓬莱式の枯山水といえる。そして枯滝石組の水の流れの先には、水を左右に分ける水分石を据えている。亀石組は三尊石で組まれてた抽象的なものである。
庭園東部には枯池は、巨石で組まれた力強い護岸石組が印象的。その池泉の右上を望遠撮影すると、、、
3つめの枯滝石組がみえる。こちらにも水分石を据えている。
左の特徴的な石組が鶴石組であり、鶴の首がもだけている姿を現しているとのこと。その右手の丸みを帯びた石が枯滝石組の頂部であり、滝水が伝う石「水落石」となる。
庭園西部にある枯滝石組。枯池に隣接している石組であるため、なんとか滝石組と気づくレベルだ。
本堂に架けられた木橋の下部も地続きの庭園となっている。
本堂も基本は閉ざされ、一見なにも見所がないように思われる早雲寺であるが、本堂裏手にまわると関東では希有となる安土桃山~江戸初期の庭園がみられる。湯巡り散策コースに組み込み、静寂な境内で庭園観賞を楽しんではいかがだろうか。
○ | 関東では希有となる安土桃山~江戸初期の庭園がみられる。11月上旬の寺宝特別公開期間であれば、本堂から庭園を眺められる。 |
× | 特に見当たらない。 |