誕生寺
たんじょうじ
誕生寺は日蓮聖人降誕の地を記念して、鎌倉時代(1276)に日蓮の生家跡に建立された日蓮宗大本山の仏教寺院である。昭和8年(1933)に建築された客殿には、有栖川宮熾仁親王(ありすがわのみや たるひと しんのう)が設計した客殿奥庭が残されている。有栖川宮熾仁親王は1835年生まれで1895年没なので、客殿が建築されるよりも以前の明治時代頃に作庭されたものである。
外房エリアには庭園が存在しないなぁと思って、いろいろ調査しているなかで発見したのが誕生寺。おそらく外房エリアで唯一となる日本庭園。日蓮聖人の生家に創建された誕生寺は、堂内を拝観できるようになっており、本堂近くの客殿に庭園が造られている。
庭園自体は昭和一桁に作庭された近代庭園であるが、設計自体は皇族・有栖川宮熾仁親王によるものである。庭の奥に一段高い杉木立の中には、有栖川宮家の御廟所(ごびょうしょ:いわゆる納骨堂)が建立されている。
枯滝石組は青石を用いた豪華なものであるが、木々で半分ほど隠れてしまっているのが残念である。
滝下部の意匠。
自然の地形をいかして造営された池泉庭園で、枯滝石組の高さは10m以上あると思われる。写真右手が本堂と客殿であり、左手が後述する布教殿堂である。
滝上部。かなりの急勾配となっている。
客殿からの額縁庭園を撮影。
宮家の接待所として造営したのが客殿。左側は「上段の間」であり、明治天皇の肖像が模写が展示されている。
平成18年(2006)に竣工した布教殿堂から、眺める客殿奥庭を眺める。
○ | 布教殿堂からガラス越しに眺める客殿奥庭が絵画のようで美しい。 |
× | 植栽により、豪壮な枯滝石組の存在を弱めているのが残念である。 |