日本庭園と中国庭園の2つを楽しめる天寿園は昭和63年(1988)に竣工。日本から北京への日本庭園の作庭お礼として、中国から設計施工で中国庭園が造られた。日本庭園は「昭和の小堀遠州」と称えられた作庭家・中根金作にて作庭された。
日本庭園は池泉回遊式庭園であり、案内板には「築山林泉式庭園」と紹介されている。築山林泉式庭園とは広義では池泉庭園であるが、池泉意外に築山、林、茶室などを有機的に配置した庭園のことである。
スローシャッタで滝石組を撮影。三脚なしでシャッター速度を1/10秒の手持ち撮影。Nikon D810
池泉には2つの中島があり、巨石による護岸石組が力強い。
大広間前には芝庭に流れを造っている。
続いて中国庭園へ。
曲橋(きょくきょう)。解説によると、中国庭園では橋をいくつにも曲折させて奥深い、はるかな道のりの思いを作り出しているとのこと。
浮玉堂(ふぎょくどう)から、玉泉観魚(ぎょくせんかんぎょ)を望む。浮玉堂中には滝石組と池泉があり、魚がそのなかで遊ぶ様子を観賞できる。浮玉堂前面は水に面し、中庭側も水面があるような感覚を与え、特に雨天時には情緒が生まれる。浮玉堂には石を埋め込んだ健康回廊であり、いかにも中国らしい。
玉泉観魚(ぎょくせんかんぎょ)。巨石で組まれた滝石組は圧巻。
故山真意(こざんしんい)では瀑布水流の景色を眺められる。
山洞にはいると、滝のカーテンを通して園内の風景を望むことができる独特な景観となっている。
曲水の宴を小さくした平台。曲水の宴とは、平安時代の貴族が杯が自分の目の前までに流れてくるまでに詩歌を作って詠み、盃の酒を飲んで次へ流すという遊ぶ庭のことである。詳しくは静岡県浜松市の万葉の森公園 曲水庭園を参考にして欲しい。
アーチ橋の半円を池面に写した様子が美しい。
双環万寿亭と石船。中国の蘇州では9つの世界遺産に登録された庭園があるが、凹凸のある太湖石(たいこせき)が少なくため、素材の違いが大きくありリアリティが弱いと感じた。
天寿園 案内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | 日本庭園と中国庭園を比較できる全国的にも希な庭園である。また、7~8月は21時まで利用でき、夜の庭園を楽しめるのも嬉しい。 |
× | 中国での設計施工ながらも、石の素材が異なるため蘇州でみた本場の中国庭園と異なる印象を受けた。 |