辻家庭園は加賀藩の家老であった横山家の別荘地庭園。庭園は「植治」の屋号で知られる植木職人7代目・小川治兵衛(おがわ じへえ)によって大正初期に作庭されたとさせる。昭和22年(1947)に辻家の所有となり、離れや蔵を増築し現在の建物が完成。平成25年(2013)にウエディングプロデュース・レストラン運営のノバレーゼが所有し一般公開されるようになった。
週末は結婚式利用がメインとなるため、庭園見学は事前に電話確認が必要となる。私は当日結婚式があったが、夕方からなら見学可能と案内いただいた。まずは本館から見学を開始。コバルトブルー(群青)で仕上げられた壁が美しい。
小川治兵衛によって作庭されたとされる庭園は、苔付いた坂道を下っていった崖下にある。屋号(愛称)「植治(うえじ)」で知られる小川治兵衛の代表作としては、京都の無鄰菴(むりんあん)、平安神宮神苑や、東京港区の旧岩崎邸庭園などが挙げられる。
中島に打たれた飛石から、島渡りの沢飛石で陸地へ導かれる。
先ほどの写真は、写真中央の中島から撮影。中島は切石の反り橋と沢飛石で繋がっている。
頭上は本館と新館を繋ぐスカイブリッジである。
大滝は、富士の溶岩を鉄筋コンクリートで固めた人工の滝である。
小川治兵衛は庭園に芝生を初めて用いたことで知られるが、「流れ」も治兵衛の特徴である。無鄰菴(むりんあん)を見て頂くと分かるが、まるで自然の中の小川のような造りになっている。
再び階段を登っていくと、金沢城下町を眺望できる広場があった。
中庭には枯山水を造っており、各地の名石などを配している。
離れの壁は深緑色で仕上げてある。こちらの空間で寛ぐこともでき、時間があればゆっくりしたかった。新幹線の関係で私は20分ほどしか滞在できなかった(笑)
写真右側の建物は本館であり、斜面を下っていくと庭園がある。本館前の庭園は芝生を敷き詰めた洋風庭園である。
立ち入り禁止の座敷である「群青の間」。四隅の壁をコバルトブルー(群青)で仕上げており、兼六園に隣接した成巽閣でも同じような意匠を見学できる。
辻家庭園案内図(パンフレットより引用) [ 案内図を拡大する ]
○ | 小川治兵衛の特徴でもある自然の中の小川のような「流れ」が見られる。また眺望の良い離れでのんびりと寛げるのも良い。 |
× | 小川治兵衛の庭園としては、他の庭園を比較するとインパクトに欠けるところがある。 |