豫園は明の時代に役人が1559~1577年に掛けて造園した私家園林。日本では室町時代後期にあたる。その後、荒廃したが、1980年代からの修復で現在に至っている。私家園林とは個人が所有していた庭園であり、これに対して皇帝が所有する庭園は皇家園林と呼ぶ。
上海の庭園といえば豫園。小籠包で有名な南翔饅頭店(なんしょうまんとうてん)もあり、観光客が必ず訪れるエリアにある。写真で映っているエリアも豫園の一部で無料開放されている区域である。有料エリアは1枚目の写真から入園することになる。
豫園はガイドブックでは江南式庭園として紹介されるが、江南とは中国半分のエリアを指し、蘇州にある9つの世界遺産に登録された庭園(蘇州古典園林)もすべて江南式庭園となる。
池泉に回廊が巡らされており、このような構造の最大となるのは中国四大名園の首位に君臨する拙政園がある。
続いて、太湖石(たいこせき)で造られた假山(かざん)。假山とは日本庭園でいうところの築山である。太湖石については、後ほど説明する。
左が太湖石で、右が石筍(せきじゅん)。石筍とは洞窟の天井から滴り落ちる水滴の石灰分が積み重なりタケノコのように伸びたものである。
三尊石のように配置された太湖石。凹凸のある奇石の太湖石とは、蘇州の太湖近くから産出された石灰石。中国では神が宿るとされ人気のある石である。
続いて洞門(どうもん)。洞門とは庭園と庭園を繋ぐ出入り口の役割であり、中国庭園では円形や写真のような鍵穴状の洞門がよく見られる。
変わった形状の洞門。まるで額縁のように庭園を切り取るような役割も果たしている。
中国庭園では、日本と異なる延段が見られるので足下にも注目したい。六角形と三角形の枠にレンガや石を敷き詰めている。面積の狭い方向を上向きにすることで、きめ細かいデザインとなる。大変な労力を感じる。
さらに中国庭園には漏窓 (ろうそう) と呼ばれる模様のある明かり取りの窓がみられる。写真は窓内に模様がない空窓。
幾何学模様が施された漏窓 は。いかにも中国らしさを感じる光景である。
観光地にある庭園だけに観光客は多く、有料ゾーンといえども落ち着いた雰囲気とはいかない。できるだけ早い時間に訪れるのがよいだろう。
豫園の無料ゾーンに戻る。ひときわそびえ建つビルは高さ632mの上海タワー(上海中心大厦)で、上海で最も高層なビルであり、上海タワーからの夜景は絶景であるので是非とも訪れたい。
○ | 蘇州の本格的な庭園には敵わないが、中国庭園の要素がぎっしり詰まっており見応えある。 |
× | 木曜日の訪問にもかかわらず混雑している。落ち着いて眺めるには平日といえども朝イチしかないだろう。 |