旧吉田家住宅
きゅうしょしだけじゅうたく
江戸時代に商人として財を成した吉田家。江戸後期には醤油醸造業に進出し、その後営業権を野田醤油株式会社に売却し、その跡地に造られたのが旧吉田家住宅となる。平成21年(2009)に歴史公園として一般公開される。
江戸後期に造られた邸宅庭園を書院東室から撮影。江戸後期は古庭園では比較的新しい部類にはいるが、千葉では現存する最古の庭園だろう。
芝生のようにみえるが苔敷きの庭園である。沓脱ぎ石から飛石が弧を描くように連なっているのが特徴的である。
曲線と直線を意識した意匠のようにみえるが、直線の敷石は軒下処理である。軒下処理とは屋根から滴る雨を染みこませ、水たまりを造らないようする処理で、日本庭園では炭を敷くことも多い。
こちらも先ほどの軒下処理であるが、庭園としてみるとひとつの意匠にみえ美しい。また石灯籠も風合いがあって良い。
書院の翌年(1865)に造られた新奥座敷に移動すると枯山水がみつかる。東室から離れており間近で確認できないので、望遠レンズの出番である。
すると、このような水を使わず池泉を表現した枯池になっている。苔地と枯池の高さが同一になった珍しいものである。
記事前半で触れてきた軒下処理が分かる写真。軒下より雨水が敷石に染み、用と景が調和した見事な技法だと思う。用と景:実用と景観
○ | 苔地と枯池の高さが同一になった珍しい枯山水がみられる。 |
× | ○で評価した枯山水だが、近づいて観賞できない。望遠レンズや双眼鏡などを持参したほうが良い。 |