楊貴妃観音堂
ようきひかんのんどう
泉涌寺境内にある楊貴妃観音堂には、鎌倉時代(1230)に中国から持ち帰ったとされる楊貴妃の観音像が安置されている。楊貴妃観音堂は100年に一度の開帳であったが、昭和31年より一般公開。庭園は平成18年(2006)に作庭された。
泉涌寺にはいくつかの庭園があるが、楊貴妃観音堂に庭園があることは知られていない。私も偶然遠目に石組が見えたので、立ち寄ってみるとこのような立派な枯山水があることに気づいた。泉涌寺には重森三玲が作庭した善能寺庭園 (遊仙苑)があるため、こちらも三玲によるものかと受付で確認したが、そうではないとのこと。
青石による巨石が力強く、出島に架けられた自然石や出島に据えたL字型の石などが印象的である。
二段の刈込み、そして竹垣を挟んで森林へと続く見事な地割りといえよう。これで苔の状態が良ければ、言うこと無しだ。
白砂は大河に見立て、険しい山々から大河が続いていく様子だろうか。
礼拝石のような長方形の石の先に丸型の石を配しているが、これはどのような意図なのか分からなかった。
楊貴妃観音堂への参道途中にも枯山水を設けている。
切り立った石で険しい山を表現。おそらく楊貴妃が育った中国をイメージした枯山水で、中国の不老不死の妙薬を飲んだ仙人が住むとされる切り立った黄山(こうざん)を表現しているのではなかろうか。
苔庭の野筋も緩やかな波を設け、意欲的に石を立てている。
泉涌寺の駐車場から最寄りの入口(大門)をくぐって、すぐ左手にある楊貴妃観音堂。小規模ながら見応えある枯山水であるため、見逃さないようにしたい。
○ | 二段の刈り込みと石組の配置が美しい。また中国の黄山をイメージしたかのような石組も迫力がある。 |
× | 特に見当たらない。 |