永観堂は浄土宗西山禅林寺派総本山の禅林寺の通称であり、創建は平安時代(853)である。作庭時期は寺院に確認するが不明とのことであるが、釈迦堂南側は、昭和40年代に建てられた茶室「顧庵」に合わせて作庭された可能性があるとのこと。なお現在は茶室は無く、令和元年頃に作庭し直している。
古来より「秋はもみじの永観堂」と呼ばれる紅葉の名所。シーズンオフの2月末訪問のため、境内には数人の参拝者だけであった。まずは釈迦堂南庭を見学からスタート。枯山水と池泉庭園が融合したようなお庭である。
縁側から飛石で枯山水へ誘われ、また途中分岐で沢飛石へと繋がる意匠が良い。
枯山水。大海に見立てた白砂は複雑な汀線を描いており美しい。永観堂の庭園で一番の見どころだと感じた。
別角度から枯山水を撮影。まるで港町のミニチュアを眺めているような光景である。
釈迦堂西庭には砂盛と唐門(勅使門)。
勅使門とは天皇の意思を直接に伝えるために派遣される使いが通る門のことであり、この門を入って砂の上を歩いて身を清めていた。また、昔は夜の月明かりを受け取る「明かり取り」として使われた。
釈迦堂と古方丈の間にある池泉庭園。
植栽がやや豊かで池泉の形状を撮影しにくい。
古方丈西庭に小さな池泉観賞式庭園が造られている。石の形状や風合いから平成に整備されたものだろうか。
永観堂で見逃せない「臥龍廊(がりゅうろう)」。山の斜面に沿って木を組み合わせて造られた廊下であり、龍の体の中を歩いているような気分になることから、臥龍廊と名付けられている。
ここからは境内の無料エリアの紹介。放生池には中島があり、辨財天(弁財天)が祀られている。
寿橋から流れを眺めると、苔庭から水が放出されており、手水鉢のようなところで水流が渦を巻くようになっている。
最後に獅子門句碑のある滝石組を眺めて永観堂をあとにする。
永観堂境内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | 複雑な汀線をもつ枯山水が美しい。 |
× | 枯山水だけを評価すると2つ星であるが、シーズンオフに庭園を主軸に愉しむとややもの足らないため1つ星に。 |