高梨氏庭園(上花輪歴史館)
たかなししていえん(かみはなまれきしかん)
醤油といえば「キッコーマン」。その茂木家、高梨家、堀切家の合同で野田醤油株式会社として江戸中期に創業したのが始まりである。その創業者一家である高梨兵左衛門(ひょうざえもん)家、いわゆる高梨本家が修復・保存されているのが上花輪歴史館である。平成13年(2001)には、髙梨氏庭園として国指定名勝に登録されている。
キッコーマン創業者のひとりである高梨本家が、高梨氏庭園として国指定名勝となっていることもあり訪問。まずは表玄関を見学すると、杉の上部だけに枝葉を仕立てた台杉が印象的である。
明治に改修された書院から巨大な鞍馬石の沓脱石から飛石が打たれている。後述するが、高梨氏庭園には京都から運ばれた鞍馬石が多くみられ、資産家であることをうかがい知れる。
江戸末期に建築され、昭和6年(1931)に改築された茶室「眺春庵(ちょうしゅあん)」には露地があるが、腰掛待合はない。
竹林を散策すると醸造の神様と奉る「松尾大社」が。
写真に写っている石は全て鞍馬石。沓脱石は丸石で叩いて平にしているので、その跡が残っている。
立蹲(たちつくばい)と奥の石は、山から出た鞍馬石が川に落ちて、角が取れた川州(かわす)である。
山から出てそのままの石を組み合わせて造った山燈篭。
主人室の周辺は炭で焼いたタイル張りである。
沓脱石から蹲踞(つくばい)までこれほど隣接しているにもかかわらず、大きな石で飛石を打っているのは面白い。また手水鉢の周りに敷き詰めた平らな黒石が美しい。
訪問時には気づかなかったが、門の造形がとても美しいことに気づいた。
上花輪歴史館の案内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | 貴重な鞍馬石を多様しており、日本庭園としては飛石や蹲踞などが見どころである。 |
× | 国指定名勝の庭園としてみると、枯山水や露地の様子が少なくやや物足りない。 |