観音寺
かんのんじ
観音寺は安土桃山時代に創建されたと伝わる臨済宗妙心寺派の寺院。庭園は江戸中期(1788)に山門や鐘楼が再建されたときに造られた。
和田山駅から徒歩10分ほどの距離にある観音寺。竹田城のある山を借景につつ、傾斜を築山として活かしている。
急斜面に枯滝石組による大滝を造っている。刈り込みにより分かりにくいため、写真に青色でマーカーを引いた。
近づいて望遠撮影すると、大滝は三段落ちとなっている。最後の下段はベロを出したような板石により、滝水が水落石を伝わらない離れ落ちの形式になっている。そして、滝下段には向かって石橋を架けており、この石橋も注目したい。
2枚の石橋を支柱で繋げており、左端はいまにも割れそうな薄さだ。このようなこともあり、瓦で結界を造っているが、ここは石を縄で括った結界石(関守石とも呼ぶ)にして、全体の美しさを保って欲しかった。
大滝石組の左手にも滝石組のような意匠がみえるが石段である。
庭園北部にも枯滝石組による小滝がある。その左手にある石段と間違えないようにしたい。小滝の下段は滝添石を三角に組んだ意欲的な意匠になっている。
別角度から小滝を眺める。滝添石の力強さが伝わるだろうか。
石段を登って滝石組の上段を見下ろすと、このような滝石組になっている。
池泉北部は、枯滝石組から枯流れとなり、池泉へと繋がる地割りになっている。
枯流れと池泉の接合部。
観音寺庭園は斜面を石段で回遊できようになっているが、急峻のためあまりお薦めしない。
「ひょうごの庭園 著:西桂」では自由拝観となっているが、山門などに庭園があることが記されていないので、観光エリアにありつつも、檀家さんと庭園マニアだけが知る庭園だろう。
○ | 大滝と小滝の石組がいずれも力強い。 |
× | 大滝の石組が迫力あるのだが、刈り込みにより滝石組が判別にしくい。全体的に刈り込みが多すぎるが、大滝周辺の刈り込みを除去するだけでも、本来の美しい姿が浮かび上がるだろう。 |