北野美術館は長野県最大の建築会社「北野建築」の社長・北野吉登が所有していた美術品を展示するために、昭和43年(1968)に開館。敷地内の庭園はモダンな庭園造りで知られる日本庭園史の研究家・重森三玲(しげもり みれい)によるもの。
重森三玲が69歳のときに作庭した枯山水。同時期には貴船神社 石庭も作庭。こちらの枯山水だけであれば、無料で見学できてしまう。
日本庭園に詳しい方なら、州浜模様の延段を見た瞬間に「重森三玲」による作品ではないか?と気づくだろう。春山を借景とした枯山水であり、芝の築山には多くの黒松を植樹している。
こちらの庭園の特徴は州浜模様が三段構成になっていること。中央は重森三玲の作品でよく見るもので丹波鞍馬の赤石。手前は上面が平らな自然石(上面は加工されている?)を敷いたもの。一番内側は青棒状石を網代式に並べたもので、似たような意匠は中国庭園でよくみられる。例)中国の蘇州にある世界遺産「耦園(ぐうえん)」
海のない長野県であるため、白砂で大海をイメージ。岩島も州浜と対比するかのように弧を描かれるように配列されている。
解説文には「築山に杉苔を植栽し」と表記されているが、現在は芝になっている。日当たりが良いため、苔のメンテナンスが大変だったため植え替えたのだろう。また作庭当初は周辺はリンゴ畑であり、枯山水と借景が一体化していたと思われる。
園内の石組は、阿波産の青石を意欲的に立てることで剛健さを表現している。
築山は中島、白砂が海、州浜が波といったイメージで確かに海を感じさせてくれる。
築山に青棒状石を網代式に敷き詰めた意匠を組み合わせている。
高い木は、京都産の台杉である。写真正面に見えるのが北野美術館で階段の踊り場からであれば、上から枯山水を観賞できるのではと思い、、、
美術館の方に許しを得て、階段の踊り場から撮影させていただく。いつも思うが少し広い庭園は2階ぐらいの高さから眺める視点場がいつも欲しくなる。
ここから撮影すると、岩島が亀石の様にも見える。視点場によって石組の表情が変わるとよくいわれるが、それは高さも含めてのことだと改めて感じた。
○ | 赤石を州浜形に敷き詰めた延段と、青棒状石を網代式に敷き詰めたものが組み合わさった、あまり見られない希有な意匠を観賞できる。 |
× | 特に見当たらない。 |