姫路城西御屋敷跡庭園「好古園」は、姫路市制100周年の平成4年(1992)に開園。江戸初期(1618)に武将・本多忠政が造営した西御屋敷や武家屋敷跡に9つの庭園を造っている。また江戸時代の建築が再現されていることもあり、水戸黄門や暴れん坊将軍のロケとしても使われた。
9つの庭園がある好古園でハイライトとなるのが、最初に足を踏み入れることになる「御屋敷の庭」である。美しい曲線を持つ渡り廊下で「唐傘割工法(からかさわり)」という技法とのこと。左手には緩やかな滝から池泉へと水が流れ込む様子を楽しめる。
池泉側は紅葉の奥に雄滝がある。
潮音齋(ちょうおんさい)の観庭台(かんていだい)から雄滝を撮影。姫山原始林を借景にし、滝水が流れ落ちる部分に配置された石で水落石(みずおちいし)は巨石であり、滝の流れに変化を付けるような水分石を二石を配置している。
渡り廊下から連なる段差の低い滝が雌滝だろうか。広大な敷地に負けないよう巨石を多様している。
洲浜越しに切り石橋、その奥には姫路城の城郭がみえる。水際を美しく魅せる洲浜は大きめの石を敷いている。比較対象が違いすぎるが、仙洞御所の洲浜と比べると大味である。
こちらは亀島だろう。鶴島や鶴石組はどこにあるのか分からなかったので問い合わせてみると「実質の作庭者である大北望氏によると鶴石は、「どれ」と明確にしていないそうです。観た方がそれぞれ考えて欲しい。従来のセオリーにこだわらない作庭をしてあるので亀島のようにリアルな蓬莱山や鶴はありません」とのこと。なるほど、、、
裏千家の設計で、京都の数寄屋大工が建築した茶室「双樹庵(そうじゅあん)」から茶の庭を望む。
茶の庭には双樹庵から飛石で蹲踞(つくばい)に導かれる。蹲踞とは、茶室に入室前に身を清めるためや、茶の湯をくみ取る場所として使われるところで、手水鉢と3つの役石で構成されている。詳しくは小田原市の老欅荘(ろうきょうそ)の記事を参考にして欲しい。
双樹庵の四畳半より丸窓を組み合わせたダブル額縁庭園。
続いて「流れの平庭」へ。ここでは曲線を描いた流れに注目したい。
S字カーブを描く流れ。右奥のカーブには内側は洲浜風の意匠を造っている。
続いて「築山池泉の庭」へ。現地では気づかなかったがパンフレットを読むと鶴亀庭園になっており、池の北側に亀島、南側に鶴島があるとのこと。亀島は写真正面の橋で繋がっている中島だろう。
最後に「御屋敷の庭」に戻り併設されたレストラン「活水軒」を覗いてみる。正面に滝があるのでよく見えるかと思ったが、モミジでかくれ紅葉しか楽しめないものだった。ただ雰囲気は良く時間があれば寛ぎたかった。
好古園の案内図(パンフレットより引用) [ 案内図を拡大する ]
○ | 9つの庭園が集合した巨大な庭園。特に紅葉シーズンの渡り廊下からの光景は圧巻される。 |
× | 巨大な庭園には良くあることであるが、全体的にやや大味な造形である。 |