大正末期に金谷ホテルの敷地内にあった日本家屋を移築し、庭園もその頃に造園。平成28年(2016)から庭園のみ限定公開される。
2016年より限定公開された松屋敷は、あまり知られていない日光の穴場スポットであり、紅葉も美しいとのこと。庭園の中心には池泉が作られている。
護岸石組はなく、池泉北部には滝石組が作られている。
この滝石組「あずま滝」が松屋敷における日本庭園でのハイライトとなる。滝下には水を分流する水分石を据えている。
水量は少なく、丸みを帯びた石で組まれている。日本庭園の世界では、江戸末期以降は石組に力強さが少なくなり、穏やかさを感じさせる石組になりつつある。
何段にも落とされた多段落としであり、水が伝い落ちる水落石(みずおちいし)の両側には滝添石が立てられ、滝石組の基本形に沿って造られている。
滝下部を見下ろす。緩やかな曲線が付けられ美しく、破綻なく池泉へと流れ込む。
池泉中央部には石灯籠があり、火袋の下部である竿が人にみえないだろうか。
正面から撮影すると、鬼になっており、灯籠を担ぐ鬼というモチーフである。そして、鬼の目線先には
仏様がいる。鬼を灯籠で押さえ込み、仏様が見張っているという例えなのだろうか。
池泉を離れ庭園を周遊すると、日光小学校を見下ろせる展望所がある。
また五角堂からは庭園を少し高いポジションから見下ろせる。イスも完備され寛げそうな環境である。
松屋敷の案内図。注意点としては、車でのアプローチは分かりにくい。梅屋敷旅館とホテル高照の共用の入り口から車で進入していく。ホテルと旅館の駐車場を越えて、砂利道を進んでいった先に駐車場がある。なお、10時過ぎから東照宮周辺に駐車場待ち渋滞が発生する。そのため日光駅から国道169号線を北上して、橋を越えて2つめの信号を左折して日光木彫りの里工芸センター経由のルートでアプローチするのが正解である。 [ 案内図を拡大する ]
○ | 日光で混雑に巻き込まれない穴場庭園といえる。特に紅葉時期はお薦めだろう。 |
× | 日本庭園としては滝石組が唯一の見所となり、もの足らない。 |