名古屋城 三の丸庭園
なごやじょう さんのまるていえん
三の丸庭園は、陸軍将校クラブ偕行社(現在の名古屋市公館)の前庭として作庭。造園時期は明治と考えられていたが、庭園研究家でもある重森三玲の調査により、桃山時代に作庭されたものであることが判明。
名古屋城には二之丸庭園があるが、三の丸庭園があることはあまり知られていない。名古屋城の敷地から徒歩5分離れた飛び地にあり、ガイドブックなどにも掲載されていない。
「名古屋城いまむかし(中日新聞社出版部)」によると、枯山水として作庭され滝付近に入込んだ池割は渓谷山水の構成であり、滝の形式が、龍門瀑形式(りゅうもんばく)で桃山初期に作庭されたとされる。
とすると、二之丸庭園よりも歴史のある古庭園であり実に興味深い。こちらが龍門瀑となるが、鯉魚石が見当たらない。龍門瀑と鯉魚石については徳川園(名古屋)の記事を参考にして欲しい。
「茶の湯的 ・ 建築 庭園 町並み観賞録」によると、「滝石組は鯉魚石を省略した桃山期の龍門形式」とのこと。また滝石組上部には三尊石組を確認できる。
石舟形の手水鉢と、その奥には自然石による石橋が架けられている。
三の丸庭園の西部には出島風の築山があり、亀石組のような意匠である。
○ | 二之丸庭園よりも歴史ある桃山前期の枯山水をみられる。 |
× | あまり整備されておらず、植栽により栗石による枯池の存在感が弱まり。植栽が少なくなる冬期に訪れるのが良いだろう。 |