高野山真言宗の清薗寺は、創建は飛鳥時代(586)と伝わる丹波の古刹。庭園は本坊が造られた江戸後期(1804-1818)頃に住職によって作庭されたとされる。
清薗寺の撮影は意外と苦労しており、2日間で3回訪問してようやく撮影成功。初日は強烈な逆光、翌朝は濃霧と・・・・。庭園めぐりをはじめた頃は晴天が撮影日和だと思っていましたが、多くの場合、陰影が生まれない曇り空が一番撮影しやすいですね。
本坊となる持仏堂前に、高谷山(こうたにやま)を借景にした枯山水がある。写真右手に枯滝石組や蓬莱山、左手に十六羅漢式石組。それでは、それぞれを見ていこう。
まずは本庭の中心となる階段状の枯滝石組。頂部にある立石は守護石と解説されているが、借景の高谷山と、近景の山に見立てた石とみることもでき、奥行き感を生み出している。枯滝石組の右手には山形の石があり、こちらは蓬莱石となっている。
階段状の枯滝石組を撮影。丸みを帯びた石を使い石組が弱くなってきた江戸後期の庭園とは思えない力強さがある。
十六羅漢式石組。羅漢(らかん)とは悟りを開いた高僧のことで、16個の石ひとつひとつが羅漢を表している。
視点を変えて十六羅漢式石組を撮影。立石と横石を上手く使い分け、見る角度によって豊かな表情を演出している。ちなみに十六羅漢式石組は、京都の妙蓮寺でも観賞できる。また、後述する鶴石組とも思われる石組と合わせて、十六羅漢式石組は亀石組も兼ねているようにも考えられる。
西桂氏の著書で「鶴石組とおも思える造形」と表現された石組。左の横石が鶴首石で、中心石の立石が羽石となるのだろうか。
持仏堂裏に足を伸ばすと、自然石を多用した無骨ながら味わい深い石灯籠が目に留まる。こういった石灯籠、好きです。
こちらにも青石を多様した石組がある。
本堂前に、なぜかトトロの石像。子供達にお寺に気軽に訪れて欲しいという住職の思いだろうか。カワイイですね!
○ | 江戸後期と思えない力強い階段状の枯滝石組が美しい。 |
× | 特に見当たらない。 |